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卵かけご飯は太る?原因は脂質ではなく「ご飯の量と早食い」でした

木のテーブルに置かれた卵かけご飯と、かごに入った卵。タイトル「卵かけご飯は太る?原因はご飯の量と早食い」

卵かけご飯って、結局のところ太るんですか?

太るとしたら卵ではなく、ご飯の量と、噛まずにかきこめてしまう食べ方のほうが効いています。

先に、この記事のいちばん大事なところだけ書きます。

・卵を1個割り落としても、炭水化物は0.2gしか増えません(醤油を入れても0.6g)。増えるのは脂質5.1gとたんぱく質6.1gです
・ご飯を150gから100gに減らすと、炭水化物は55.7gから37.1gへ18.6g落ちます。卵をどういじるより、こちらのほうがはるかに大きく動きます
・早食いの人は、そうでない人と比べて肥満のオッズ比が2.15倍(23研究のメタ解析)。卵かけご飯は、料理の中でもとくに噛まずに飲み込めてしまう部類です

この記事を書いている私は臨床検査技師です。栄養士でも医師でもありません。ですのでこの記事では、日本食品標準成分表から自分で計算した数字と、実在する論文で確かめられていること、そして確かめられていないことを、そのつど分けて書きます。

それと、この記事は2021年に書いた初版の全面的な書き直しです。初版には数字の間違いが2つありました。ひとつは「卵3個で体脂肪率が11%下がる。8ヶ月間の実験で」と書いた箇所で、元の研究は8週間、指標は体脂肪率ではなく総脂肪量の11.0%減でした。もうひとつは「玄米には白米に含まれていない水溶性食物繊維がある」と書いた箇所です。どちらも本文中で訂正します。

この記事でわかること
・卵かけご飯5パターンのカロリーとPFCバランス(成分表から計算)
・「卵の脂質は太るのか」への答え
・ご飯を何gにすればいいのか、1食あたりの数字
・「卵3個ダイエット」の元の研究が、実際には何を示していたのか
・生卵のたんぱく質が加熱卵よりゆっくり吸収される話と、それがダイエットにどう関係する(しない)のか
・卵は1日何個までか。結論が割れている理由

※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。

目次

結論|太らせているのは卵ではなく、ご飯の量と食べる速さです

卵1個と醤油で増えるのは76kcal。炭水化物はほとんど動きません。動かせるのはご飯の側です。

まず、卵かけご飯を5パターンに分けて中身を出します。日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の値から計算したもので、ご飯は普通盛り150g、卵はMサイズの可食部50g、醤油は小さじ1(6g)としています。

メニューエネルギーたんぱく質脂質炭水化物食物繊維
ごはん150gだけ234 kcal3.8 g0.5 g55.7 g2.3 g
卵かけご飯(ごはん150g+卵1個+醤油小さじ1)310 kcal10.3 g5.6 g56.3 g2.3 g
卵を2個にした場合381 kcal16.4 g10.7 g56.5 g2.3 g
ごはんを100gに減らして卵2個303 kcal15.2 g10.5 g38.0 g1.5 g
納豆卵かけご飯(ごはん150g+卵1個+納豆40g+醤油)383 kcal16.9 g9.6 g61.2 g6.1 g
表1:卵かけご飯5パターンの栄養比較(日本食品標準成分表 八訂・増補2023年から計算)

この表でいちばん見てほしいのは、炭水化物の列です。卵を1個から2個に増やしても56.3gが56.5gになるだけで、ほとんど動きません。ところがご飯を150gから100gに変えると、38.0gまで落ちます。卵をどう足し引きしても、この幅は出せません。

エネルギーの内訳で見ると、もっとはっきりします。

図解1:卵を足しても、炭水化物の側は動かない エネルギーの内訳(kcal)/日本食品標準成分表 八訂・増補2023年から計算 ごはん150gだけ 242 kcal 卵かけご飯(卵1個) 316 kcal 卵を2個にした場合 388 kcal ごはん100g+卵2個 308 kcal たんぱく質 脂質 炭水化物 卵を1個から2個にしても濃い部分(炭水化物)はほぼ同じ。ご飯を50g減らしたときだけ、はっきり短くなります。

卵かけご飯という料理は、エネルギーの7割前後を炭水化物が占めています。卵は残りを分け合っているにすぎません。「卵をどうするか」を考えている限り、この構造は変わらないということです。

卵の脂質5.1gは、太る原因になりますか

なりにくいと考えます。同じ一杯の中で、炭水化物は脂質の10倍量あるからです。

卵1個(可食部50g)の脂質は5.1gです。一方でご飯150gの炭水化物は55.7g。重さで10倍以上、エネルギーに直しても炭水化物側が4倍以上あります。脂質は1gあたり9kcalなので「密度が高い」のは事実ですが、卵かけご飯という料理の中では、その密度の高いものが少ししか入っていません。

もちろん、脂質そのものが太るかどうかは、この記事1本では答えの出ない大きな問いです。ここで言えるのは「卵かけご飯を食べて太ったとき、その犯人を卵の脂質5.1gに求めるのは、量の観点から無理がある」ということだけです。

初版の「脂質が太りづらい」は取り下げます

2021年の初版で私は「結論から言えば、脂質が太りづらいです」と書きました。この一文は取り下げます。

理由は単純で、出典を示していなかったからです。当時は「脂質は新陳代謝を促進し、空腹感を減らす」「内臓脂肪の燃焼を促進してくれる」とも書いていましたが、これらを卵かけご飯という文脈で確かめた研究を、今回調べ直しても見つけられませんでした。今回の記事では、脂質が太るか太らないかという一般論には踏み込まず、卵かけご飯の中で脂質が何gあるのかという事実だけを扱います。

卵を落としても、血糖の上がり方はあまり変わりません

白米の食後血糖がはっきり下がったのは、主菜と野菜の副菜まで揃えたときでした。卵1個ではそこに届きません。

健康な日本人男性9名を対象にしたランダム化単盲検クロスオーバー試験(Kameyama, Br J Nutr 2014)では、白米だけ/白米+主菜/白米+脂質を増やした主菜/白米+主菜+野菜の副菜、の4条件で食後3時間の血糖を比べています。血糖の増加曲線下面積(iAUC)がいちばん小さかったのは、主菜と野菜まで揃えた条件でした。白米だけがいちばん大きく、主菜を足しただけでは下げ幅が小さかったのです。

脂質を足せば血糖の上がり方が変わる、という方向のデータもあります。日本人男性15名に白米とマヨネーズ15gを一緒に食べてもらった試験(Kawada, Biosci Biotechnol Biochem 2026)では、血糖のiAUCが69.5から46.0 mg·h/dLへ約34%、ピークの上がり幅が63.3から43.4 mg/dLへ約31%下がりました。ただしこの試験は対照群を置かない単群のオープン試験で、著者にマヨネーズメーカーの所属者が含まれます。方向性の参考にはなりますが、これ1本で結論を出せる強さではありません。

面白いのは、卵を「かける」より「先に食べる」ほうが効いていそうだという点です。チーズ50gと卵50gを食事の前に食べてもらう試験群では、血糖のiAUCが健常者12名で32%、耐糖能異常のある12名で37%、2型糖尿病の10名で49%下がったと報告されています(Tricòらの一連の試験)。卵かけご飯は、卵とご飯を混ぜてから一緒に流し込む食べ方なので、この「先に食べる」からはいちばん遠いところにあります。

「卵3個ダイエット」は、卵かけご飯の根拠になりません

元になった研究は糖質25%未満の食事で、白米150gを食べる卵かけご飯とは条件が真逆だからです。

2021年の初版で私は「メンタリストDaiGoさんが紹介していた、卵3個食べると体脂肪率が11%下がるというダイエット方法」を紹介し、「8ヶ月間行われた」と書きました。今回、元になったと思われる研究を確認しました。

Goss らの報告(FASEB J 2017)は、60〜75歳・BMI 30〜40の26名を対象に8週間行われたランダム化比較試験です。卵をベースにした糖質制限食(糖質25%未満・たんぱく質25%・脂質50%超)と、標準食(55:25:20)を比べました。結果は、総脂肪量が卵ベース食で11.0%減、標準食で2.3%減。内臓脂肪は23.3%減と7.1%減で、いずれも有意差がついています。

初版の訂正
・期間は「8ヶ月」ではなく8週間です
・指標は「体脂肪率11%減」ではなく総脂肪量11.0%減です
・この報告は学会抄録(予備報告)で、査読付きの原著論文ではありません

そして何より大事なのは、この研究の食事が糖質25%未満だったという点です。卵かけご飯は、表1で見たとおりエネルギーの7割前後が炭水化物です。この研究を根拠に「卵を3個入れた卵かけご飯なら痩せる」とは言えません。むしろ、この研究がやったのは主食を減らして卵を増やすことでした。

卵の朝食そのものには、裏づけがあります

ただし置き換えた相手はベーグルで、ご飯に卵を足す卵かけご飯とは向きが違います。

152名を対象に8週間行われたランダム化比較試験(Vander Wal, Int J Obes 2008)では、エネルギー制限をしたうえで朝食を卵にした群が2.63kg減、ベーグルにした群が1.59kg減でした。BMIの低下も0.95と0.59で差がついています。別の試験(Ratliff, Nutr Res 2010)では、卵の朝食のあと24時間の摂取エネルギーが減り、空腹ホルモンのグレリンが下がったと報告されています。

ここで起きているのは「炭水化物中心の朝食を、卵に置き換えた」ことです。卵かけご飯は、炭水化物を残したまま卵を足す食べ方なので、同じ結果を期待できる根拠にはなりません。

この記事で挙げた研究が、それぞれどこまでのことを示せているのかを整理しておきます。

図解2:この記事の研究は、どこまでを示せているか 上に行くほど期間が長く、下に行くほど条件がきっちり管理されています 3段目|5〜20年の追跡調査(コホート・メタ解析) Nanri 2010(約5万9千人)/Sun 2010(約19万7千人)/Zhong 2019(約3万人) PURE 2020(約14万6千人)/Ohkuma 2015(23研究のメタ解析) わかること:病気の起こりやすさ / わからないこと:それが原因かどうか 2段目|8週間のランダム化比較試験 Vander Wal 2008(152名・卵の朝食 −2.63kg vs ベーグル −1.59kg) Goss 2017(26名・学会抄録・総脂肪量 −11.0% vs −2.3%) わかること:体重・体脂肪が動くか / わからないこと:病気が減るか 1段目|食後数時間の血糖を見た試験(急性試験) Kameyama 2014(9名)/Kawada 2026(15名・対照群なし)/Tricò(10〜12名) その日その場の血糖の動きだけを測っています わかること:血糖の上がり方 / わからないこと:体重が減るか 1段目の結果を「痩せる」と言い換えないこと。この記事が守っているのはその一点です。

では、ご飯を何gにすればいいのか

ダイエット中なら100g前後、普通盛りでも150gまで。1合(約330g)は別の食べ物だと考えてください。

「太らない量」を医学的に決めた数字はありません。1日に必要なエネルギーは体格と運動量で変わるからです。そのうえで、卵かけご飯という1食を組み立てるための目安を出します。

ごはんの量エネルギー炭水化物卵1個+醤油を足した合計
100g(小盛り)156 kcal37.1 g232 kcal
150g(普通盛り)234 kcal55.7 g310 kcal
200g(大盛り)312 kcal74.2 g388 kcal
約330g(炊いた米1合)515 kcal122.4 g591 kcal
表2:ごはんの量別のエネルギーと炭水化物(日本食品標準成分表 八訂・増補2023年から計算)

SNSで「卵かけご飯を1合食べていたら太った」という投稿を見かけます。この表を見れば、それは卵の話ではないとわかります。1合分のご飯に卵を1個落とすと591kcalで、炭水化物は122.4g。普通盛りの2倍以上です。

白米の量そのものについては、日本人を対象にした大規模な追跡調査があります。45〜75歳の男性25,666名・女性33,622名を5年追跡したJPHC研究(Nanri, Am J Clin Nutr 2010)では、女性で米飯摂取がいちばん多い四分位の人は、いちばん少ない四分位の人と比べて2型糖尿病の多変量調整オッズ比が1.65倍(95%CI 1.06〜2.57、傾向性のP=0.005)でした。男性は全体では有意な関連が出ず、激しい身体活動をしない人でのみ関連の示唆がありました(傾向性のP=0.08)。

この研究は「量が多いほどリスクが上がる方向にある」ことと、「その効き方が性別と運動量で違う」ことを示しています。ただし四分位という区切り方なので、自分が何gでどの区分に入るのかは、この結果からは読み取れません。実際に量を決めるときは、上の表2の数字で組み立ててください。糖質量の考え方は糖質は一日何グラムまでかにまとめています。

玄米に替えるのはいい手です。ただし理由は食物繊維ではありません

炊いた状態の食物繊維は、玄米も白米もほぼ同じです。玄米を勧める根拠は別のところにあります。

初版で私は「玄米には、白米には含まれていない、水溶性食物繊維が含まれています」「これで確実に太りづらくなります」と書きました。この2つとも訂正します。

日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の値では、炊いた玄米の食物繊維総量は100gあたり1.4g、炊いた精白米は1.5gです。少なくとも成分表の実測値では、玄米が白米を上回っていません。「白米に含まれていない繊維がある」という書き方は誤りでした。また「確実に」という言い切りも、個人差のある話に使うべき言葉ではありませんでした。

そのうえで、玄米への置き換えを勧める根拠は別にあります。米国の男性39,765名・女性157,463名を追跡した研究(Sun, Arch Intern Med 2010)では、炊いた白米50g分を毎日玄米に置き換えると、2型糖尿病のリスクが16%低いという関連が出ています。全粒穀物全般に置き換えた場合は36%でした。玄米そのものについては玄米ダイエットの検証記事と玄米に毒はあるのかで別途扱っています。

一番の本丸は「早食い」|卵かけご飯は噛まずに飲めてしまう

早食いの人は、そうでない人と比べて肥満のオッズ比が2.15倍。23研究をまとめた解析の結果です。

Ohkuma らのシステマティックレビューとメタ解析(Int J Obes 2015)は、23の研究をまとめて食べる速さと肥満の関係を調べたものです。早食い群の肥満のオッズ比は2.15(95%CI 1.84〜2.51)、早食い群と遅食い群のBMIの差は1.78 kg/m²(95%CI 1.53〜2.04)でした。

これは観察研究をまとめたものなので、早食いが原因で太ったのか、太りやすい人がたまたま早食いなのかを決めることはできません。それでも、この差の大きさは無視できるものではないと思います。

そして卵かけご飯は、料理の中でもとくに噛む回数が少なくて済む食べ方です。生卵で米粒がほぐれ、口の中で滑るようになるので、意識しないと飲み込むまでが速い。おかずがない一品完結の食事なので、箸を置くタイミングもありません。私が卵かけご飯で気をつけるべきだと考えるのは、糖質でも脂質でもなく、ここです。

納豆やめかぶを足すと、噛む回数が増えます

食物繊維が増えるだけでなく、口の中で噛まざるを得ない食感が加わるからです。

表1で見たとおり、納豆1パック(40g)を足すと食物繊維が2.3gから6.1gへ増えます。同時にたんぱく質も16.9gまで上がります。エネルギーは383kcalと増えるので、その分ご飯を減らすのが前提になりますが、噛みごたえという意味では効果があります。噛みごたえの考え方は噛みごたえで選ぶという記事にまとめました。納豆そのものについては納豆はちみつの記事で栄養成分を扱っています。

生卵の話|吸収はゆっくり。ただしカロリーが消えるわけではありません

生卵のたんぱく質は加熱卵よりゆっくり吸収されます。ただし太りにくくなるという意味ではありません。

卵かけご飯の記事なのに、卵が生であることに触れている記事があまりありません。ここは分けて書く価値のあるところだと思います。

回腸ストーマのある5名に、炭素13と窒素15で標識した卵たんぱく質25gを加熱と生で食べてもらった研究があります(Evenepoel, J Nutr 1998)。真の回腸消化率は、加熱卵で90.9±0.8%、生卵で51.3±9.8%でした。加熱すると消化率が有意に上がる、という結果です。

食べ方真の回腸消化率単純に卵1個(たんぱく質6.1g)に当てはめると
生のまま51.3 ± 9.8%約3.1g
加熱(ゆで卵・目玉焼き・卵焼き)90.9 ± 0.8%約5.5g
表3:加熱状態と卵たんぱく質の消化率(Evenepoel, J Nutr 1998)。右列は本記事による単純計算です

この表の右列には、大きな注意書きが要ります。

表3の右列を読むときの注意
・元の研究は5名を対象に、25g(卵4個分程度)のたんぱく質を投与したものです。卵1個への換算は比例計算にすぎず、この数字が実測されたわけではありません
・回腸ストーマのある方が対象なので、消化管をすべて通った場合の吸収率とは厳密には違います
・そして卵かけご飯の卵は「完全な生」ではありません。炊きたてのご飯にかけると卵白の一部が熱で変性するので、実際の消化率は51.3%より高くなると考えるのが自然です。ゆで卵の90.9%ほどにはならない、という程度に受け取ってください

これは「吸収されないから太らない」という話ではありません

カロリーとしては計算に入ります。落ちるのは、たんぱく質を体の材料として使う効率のほうです。

ここを取り違えると危ないので、はっきり書きます。消化率が低いことを「食べたカロリーが体に入らない」と読むのは誤りです。卵1個は71kcalで、そのうち大部分は脂質が担っています。消化率の話はたんぱく質についてのもので、脂質やエネルギー全体の吸収を否定するものではありません。

影響が出るのは「卵かけご飯はたんぱく質が摂れるからダイエットに向いている」という期待のほうです。表1では卵かけご飯のたんぱく質を10.3gと計算していますが、そのうち卵由来の6.1gは、加熱した卵ほど効率よくは使われない可能性があります。筋トレをしていてたんぱく質の量を数えている人は、卵は加熱して食べたほうが計算どおりになります。

卵黄を外すのは、たぶん損です

同じたんぱく質量で比べたとき、全卵のほうが筋たんぱく質の合成が高かったという試験があります。

若い男性を対象に、たんぱく質18g分の全卵と卵白を運動直後に食べ比べた試験(van Vliet, Am J Clin Nutr 2017)では、全卵のほうが筋原線維たんぱく質の合成反応が有意に高いという結果が出ています(P=0.04)。血中に出てくるアミノ酸の量は同じだったので、卵黄側の脂質や微量栄養素が関わっているのではないかと考えられています。「脂質が多いから卵黄を捨てる」は、少なくともこの観点では割に合いません。

卵は1日何個まで? 結論は割れています

1日1個前後なら健康な人では問題ないとする研究が多い、というのが今の落としどころです。

鶏卵の全卵(生)のコレステロールは100gあたり370mg。Mサイズ1個(可食部50g)で185mgです。これをどう見るかで、大きな研究どうしの結論が割れています。

米国の6つのコホート29,615名を中央値17.5年追跡した解析(Zhong, JAMA 2019)では、1日あたり卵0.5個の増加ごとに心血管疾患のハザード比が1.06(95%CI 1.03〜1.10)、絶対リスク差1.11%、総死亡のハザード比が1.08(1.04〜1.11)、絶対リスク差1.93%という関連が出ました。一方、50か国146,011名を対象にしたPURE研究(Dehghan, Am J Clin Nutr 2020)では、1日1個までの卵摂取は総死亡とも主要な心血管イベントとも関連しませんでした。

どちらも規模の大きな研究で、決着はついていません。私の立場としては、卵かけご飯を1日1杯(卵1個)食べるくらいなら騒ぐ話ではない、けれども「1日3食を卵かけご飯にしても大丈夫」と勧められる根拠は今のところない、というところです。脂質異常症などで治療を受けている方は、この記事ではなく主治医の指示に従ってください。数値がどう動くかについてはダイエットで血液検査の数値はいつ動くかにまとめています。

生で食べる以上、賞味期限の話は落とせません

サルモネラは卵の内部に入ることがあるので、殻を洗っても取り除けません。

食品安全委員会のリスクプロファイル(鶏卵中のサルモネラ・エンテリティディス/2010年改訂版)によると、この菌は鶏の生殖器官を上がって卵の内部に入り込むことがあり、卵殻を洗浄しても完全には除けません。だから生食用の殻付き卵には、賞味期限を過ぎたら加熱してくださいという表示が義務づけられています。

同委員会の2006年度の調査では、週1回以上生卵や半熟卵を食べる人が約35%、1人あたり平均で年47食という結果でした。日本では生卵を食べること自体が珍しくないぶん、賞味期限の扱いだけは雑にしないほうがいいと思います。期限を過ぎた卵は、卵かけご飯ではなく加熱して食べてください。

太りにくい卵かけご飯の食べ方

ご飯を減らす、噛むものを足す、油を足さない。この3つで、ほとんど決まります。

ここまでの内容をまとめると、やることは多くありません。

・ご飯を100〜150gにする。ここが唯一、大きく数字が動くところです
・納豆・めかぶ・キムチなど、噛むものを足す。食物繊維と噛む回数の両方が増えます
・油系の味変を足さない。下の表4のとおり、ここが一番カロリーが跳ねます
・玄米に替えるなら、繊維目当てではなく置き換えの疫学が根拠です
・たんぱく質を数えているなら、卵は加熱して別に食べる

味変で足すもののカロリーを見ておいてください

ごま油を小さじ1回すと36kcal、マヨネーズを大さじ1で80kcal。卵1個より重いこともあります。

足すもの1回分の目安エネルギー備考
こいくちしょうゆ小さじ1(6g)約5 kcal食塩相当量0.87g
ごま油小さじ1(4g)約36 kcal脂質4.0g
マヨネーズ(全卵型)大さじ1(12g)約80 kcal脂質9.1g
(参考)卵1個可食部50g71 kcal脂質5.1g
表4:味変で足すもののエネルギー(日本食品標準成分表 八訂・増補2023年から計算)

「卵の脂質が気になる」と言いながらごま油を回しかけているなら、順番が逆です。ごま油小さじ1の脂質4.0gは、卵1個の5.1gに迫ります。

それから、めんつゆで食べる場合は原材料表示を見てください。安価なものには果糖ぶどう糖液糖が使われていることがあります。この甘味料については果糖ぶどう糖液糖は体に悪いのかで論文をもとに検証しました。

「食べた翌日に体重が増えた」の正体は、たぶん塩分です

醤油小さじ1で食塩相当量0.87g。体は塩分に合わせて水分を抱え込みます。

臨床検査技師として言っておきたいのはここです。1日で増える体重の大半は、体脂肪ではありません。体脂肪1kgを作るには約7,000kcalの余剰が要るので、卵かけご飯1杯(310kcal)で翌日1kg増えることは起こりません。増えているのは水分です。

醤油を回しかけて、めんつゆも足して、という食べ方だと食塩相当量はすぐ2gを超えます。翌朝の体重計の数字が動いた程度で判断せず、同じ条件で1〜2週間の平均を見てください。

長く続けるなら、卵かけご飯を「主役」にしないこと

米と卵だけの一品完結の食事を毎日続けると、栄養が偏るうえに、飽きてしまって結局続きません。

卵かけご飯は米と卵だけの料理です。野菜も、そこから摂れる食物繊維も、ビタミンCもありません。「これだけで栄養が揃う」という言われ方をすることがありますが、成分表を見るかぎりそうはなっていません。Kameyama 2014が示したのも、主菜と野菜の副菜まで揃えたときに食後血糖がいちばん低かったということでした。

朝の固定メニューとして卵かけご飯を置くのは、手間がかからず続けやすい良い方法だと思います。ただし固定するなら、味噌汁や野菜のおかずを1品つけたうえで固定してください。それができないなら、毎日ではなく週に何回か、という頻度にするほうが現実的です。

内臓脂肪について詳しく知りたい方には『内臓脂肪が落ちる究極の食事』が参考になります。カロリーの数え方については本書と私の立場は違っていて、この記事はカロリーと糖質量を正面から数える書き方をしています。読み比べていただくのがいいと思います。

よくある質問

Q. 卵かけご飯は太りますか?

A. ご飯150gに卵1個で310kcalです。この1食で太るかどうかは1日の総量しだいですが、太ったときの原因は卵ではなくご飯の量と食べる速さのほうにあります。卵を1個足しても炭水化物は0.2gしか増えません。

Q. 卵の脂質は太る原因になりますか?

A. 卵1個の脂質は5.1gです。同じ一杯の中に炭水化物が55.7gあるので、量の観点から見て卵の脂質を主犯にするのは無理があります。むしろごま油やマヨネーズを足したときのほうが、脂質もカロリーも大きく増えます。

Q. 卵を2個にしたら太りますか?

A. 310kcalが381kcalになります。71kcalの増加で、その分ご飯を30g減らせば相殺できる範囲です。ただしコレステロールは1個あたり185mg増えるので、卵の個数を増やすことについては次の質問も見てください。

Q. 卵は1日何個まで食べていいですか?

A. 結論が割れています。米国の6コホート29,615名の解析(JAMA 2019)は卵0.5個/日の増加ごとに心血管疾患のリスクが1.06倍という関連を示し、50か国146,011名のPURE研究は1日1個までなら関連なしとしました。健康な人が1日1個前後にとどめるのが、今のところ無難な線だと思います。治療中の方は主治医の指示に従ってください。

Q. 生卵だとたんぱく質が吸収されないというのは本当ですか?

A. 5名を対象にした研究で、真の回腸消化率は加熱卵90.9%・生卵51.3%でした。ただし卵かけご飯の卵は炊きたてのご飯の熱で一部が変性するので、完全な生よりは高くなると考えられます。また、これは「カロリーが体に入らない」という意味ではありません。たんぱく質を材料として使う効率の話です。

Q. 卵かけご飯を朝に食べるのと夜に食べるのでは違いますか?

A. 卵かけご飯について時間帯を比べた研究は見つけられませんでした。朝食を卵に置き換えた試験(Int J Obes 2008)で減量が大きかったという結果はありますが、これは炭水化物の朝食を卵に替えた話で、ご飯に卵を足す卵かけご飯とは条件が違います。

Q. 卵かけご飯を食べた翌日に体重が1kg増えました。太ったのでしょうか?

A. 体脂肪1kgを作るには約7,000kcalの余剰が必要なので、310kcalの1食で1kgは増えません。醤油やめんつゆの塩分による水分の保持が主な原因だと考えられます。同じ条件で1〜2週間の平均を見てください。

まとめ

卵かけご飯で太るかどうかを決めているのは、卵ではなくご飯の量と食べる速さでした。

・卵1個と醤油で増えるのは76kcal。炭水化物は卵の分で0.2g、醤油を入れても0.6gしか動きません
・ご飯を150g→100gにすると炭水化物は55.7g→37.1g。ここだけが大きく動きます
・早食い群の肥満オッズ比は2.15倍(23研究のメタ解析)。卵かけご飯は噛まずに飲めてしまう料理です
・「卵3個ダイエット」の元研究は8週間・総脂肪量11.0%減で、糖質25%未満の食事。卵かけご飯とは条件が真逆です
・生卵のたんぱく質は加熱卵よりゆっくり吸収されますが、カロリーが減るわけではありません
・卵は1日1個前後。研究の結論は割れています
・味変の油は卵より重い。ごま油小さじ1で36kcal・脂質4.0g

初版で書いた「脂質が太りづらい」「玄米には白米にない水溶性食物繊維がある」「卵3個で体脂肪率が11%下がる(8ヶ月)」の3点は、この記事で取り下げ・訂正しました。数字を間違えたまま5年置いていたことについては、素直に反省しています。

参考文献

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この記事を書いた人

臨 臨床ブロガー 臨床検査技師/18年・88kg→65kg

検査値を通して人の体を見てきました。論文を確認し、自分の実測とは分けて書いています。医師・管理栄養士ではなく、診断・治療・服薬の判断は行いません。

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臨床検査技師。専門は生化学検査。健診センターのデータ業務、治験コーディネーター(CRC)、総合病院、公立病院の経営推進課を経て、現在はWEBマーケティングが本業。自身が20回のダイエット失敗のあと88kgから65kgへ。論文を読んで気になったものを自分の体で試し、体重・腹囲・血液検査・体組成という数値で確かめた記録を書いています。効くものは効くと、効かないものは効かないと書きます。広告主から記事内容の指定を受けることはありません。

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