ガセリ菌で痩せたは本当?内臓脂肪に効く「SP株」の論文9本とやめると戻る条件

白いボウルに盛られたプレーンヨーグルトと木のスプーン

ガセリ菌で内臓脂肪が減るのは本当です。ただし「ガセリ菌なら何でもいい」わけではなく、報告があるのはガセリ菌SP株(Lactobacillus gasseri SBT2055)という特定の菌株だけです。そして減り方は12週間で内臓脂肪面積−4.6〜8.5%、体重にすると−1.1kg。さらに、4週間やめるとその効果は小さくなっていきます(Kadooka, Br J Nutr 2013)。

臨床検査技師として日々ヒトの検査値を見ている立場から、ガセリ菌の論文9本を数字ごと並べて、「どの株が」「どのくらい」「どんな条件で」効いたのかを整理します。商品パッケージの表示区分(トクホなのか機能性表示食品なのか)についても、現物の表示で確かめました。

この記事でわかること

  • 内臓脂肪の根拠があるのは「ガセリ菌SP株(SBT2055)」だけという話
  • 12週間で実際に何cm²・何kg動いたのか、論文の具体的な数字
  • やめると4週間で効果が戻り始めるという、一番大事な条件
  • 臨床試験は「食事も運動もいつもどおり」でヨーグルトを足しただけだったこと
  • CP2305・BNR17など、ほかのガセリ菌は何に効くのか
  • その論文が「メーカーの研究所によるもの」であることを、どう読めばいいか
  • 恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルトはトクホなのか機能性表示食品なのか
  • 効いたかどうかを、家で何を測って確かめるか

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の食品が病気を治療することを示すものではありません。持病がある方、治療中の方は、自己判断で食生活を大きく変える前に主治医にご相談ください。

目次

結論|効くのは「ガセリ菌」ではなく「ガセリ菌SP株(SBT2055)」

12週間で内臓脂肪−4.6%(Kadooka, Eur J Clin Nutr 2010/87人)

最初にきちんとした比較試験が出たのは2010年です。BMI 24.2〜30.7、内臓脂肪面積81.2〜178.5cm²という「少し太めの人」87人(実薬43人・対照44人)を2群に分け、ガセリ菌SP株入りの発酵乳200gを毎日12週間飲んでもらった多施設・二重盲検の試験でした(Kadooka, European Journal of Clinical Nutrition 2010)。

12週後、SP株を摂った群では次のように変化しました。

  • 内臓脂肪面積 −4.6%(−5.8cm²)
  • 皮下脂肪面積 −3.3%(−7.4cm²)
  • 体重 −1.4%(−1.1kg)
  • BMI −1.5%
  • 腹囲 −1.8%(−1.7cm)
  • ヒップ −1.5%(−1.5cm)

対照群では、これらのどれにも有意な減少はありませんでした。「ヨーグルトを飲んだから」ではなく「ガセリ菌SP株が入っていたから」差がついた、という形になっています。

用量を1/10に下げても−8.2〜8.5%(Kadooka, Br J Nutr 2013/210人)

3年後には、菌の量を減らしても効くのかを確かめる試験が行われました。内臓脂肪面積80.2〜187.8cm²の健康な日本人210人を3群に分け、発酵乳1gあたり10⁷個・10⁶個・0個(対照)のSP株を含む発酵乳200gを、毎日12週間摂ってもらったものです(Kadooka, British Journal of Nutrition 2013)。

結果は、内臓脂肪面積が10⁷群で−8.5%(95%信頼区間 −11.9〜−5.1、P<0.01)、菌数を1/10にした10⁶群でも−8.2%(P<0.01)。対照群は有意に変わりませんでした。菌数を1桁減らしても結果がほとんど同じだったというのがこの試験の要点で、「たくさん摂れば摂るほど減る」タイプの話ではないことを示しています。

−5.8cm²・体重−1.1kg=「劇的に痩せる薬」ではない大きさ

ここが誤解されやすいところです。数字を体感に置き換えてみます。

内臓脂肪面積−5.8cm²は、へその高さの断面で見て切手2枚ぶんくらいの面積です。体重−1.1kgは、朝と夜で1kg前後動く日内変動に埋もれます。腹囲−1.7cmはベルトの穴ひとつぶんにも届きません。

つまりガセリ菌SP株は、「体重を落とす手段」ではなく「内臓脂肪の増え方にブレーキをかける手段」として見るのが正確です。体重を大きく動かしたいなら、食事量そのものを見直す話が先に来ます(内臓脂肪を最速で落とす食べ物ランキングで、優先順位を整理しています)。

「効能」を求めると外す|これは薬ではなく食品

「ガセリ菌 効能」という調べ方をされることが多いのですが、効能という言葉は本来、医薬品に対して使う言葉です。医薬品には「〇〇を治す」という承認された効能・効果があり、それを外れた表示は法律で禁じられています。

ガセリ菌SP株が入った商品は、あくまで食品です。後述するように「内臓脂肪を減らす機能があると報告されている」と書けるところまでで、「内臓脂肪を治療する」とは書けません。この差は表現の問題ではなく、期待していい大きさの差でもあります。

表1:ガセリ菌の主な菌株と、何に対する根拠があるか

菌株 通称・使われている商品 ヒト試験で報告されていること
L. gasseri SBT2055 ガセリ菌SP株(雪印メグミルク「恵 megumi」など) 内臓脂肪の減少(12週・−4.6〜8.5%)、腸内環境の改善
L. gasseri CP2305 CP2305乳酸菌(アサヒ「ココカラケア」など) ストレス関連症状と睡眠の質の改善。内臓脂肪の試験ではない
L. gasseri BNR17 韓国で研究された母乳由来株 内臓脂肪の減少(12週・高用量群でプラセボ比−21.6cm²)
株名の表示がない「ガセリ菌」 一部のサプリメントなど 上の3つの試験結果を引き継げない

なぜ内臓脂肪が減るのか|脂肪を「乳化しにくくして便へ流す」

脂肪の乳化粒子を大きくして、脂肪酸の放出を抑える

食べた脂肪は、そのままの形では吸収されません。胆汁で細かい粒(乳化粒子)にされ、その表面でリパーゼという酵素が働いて脂肪酸に分解され、はじめて小腸から吸収されます。表面積が大きいほど酵素が働きやすいので、粒が細かいほど吸収されやすいという関係になります。

ガセリ菌SP株は、ここに割り込みます。試験管内の実験で、SP株は脂肪の乳化粒子の大きさを菌量に応じて大きくし、脂肪酸が放出されるのを抑えました(Ogawa, Lipids in Health and Disease 2015)。粒が大きくなる=表面積が減るので、酵素が働ける場所が減るという理屈です。

便に脂肪が増えるのは7日で確認できる。ただしこれは「痩せる期間」ではない

同じ論文では、健康な成人30人(男性12人・女性18人)を対象にした二重盲検試験も行われています。7日間の基準期間のあと7日間発酵乳を摂ったところ、SP株を摂った群だけ便に含まれる脂肪が有意に増えました。吸収されなかった脂肪が、そのまま出ていったということです。

ここは読み間違えないでください。「7日で便中脂肪が増えた」は、吸収を抑えているという仕組みの証拠であって、7日で内臓脂肪が減るという話ではありません。実際に内臓脂肪が動いたと確認されているのは、あくまで12週間の試験のほうです。

SP株は胃酸・胆汁に強く、生きて腸に届いて居つく

仕組みが成り立つには、菌が腸まで生きて届く必要があります。SP株については、経口摂取した菌がヒトの消化管に定着することが2001年に確認されています(Fujiwara, Journal of Applied Microbiology 2001)。このとき、便中のブドウ球菌(Staphylococcus)とp-クレゾールが減ることも報告されました。人工胃液・人工腸液に対する耐性も確認されている株です。

現行のこの記事にはかつて「ガセリ菌は胃酸に弱いから食後に摂るべき」と書いていましたが、SP株についてはむしろ逆で、酸と胆汁に強いことが選ばれた理由の一つです。お詫びして訂正します。

図解1:脂肪が吸収されるまでと、ガセリ菌SP株が割り込む場所 Ogawa, Lipids in Health and Disease 2015(試験管内の実験+健常成人30人・7日) 通常 食べた脂肪 大きなかたまり 胆汁で乳化 細かい粒になる リパーゼが分解 脂肪酸が放出される 小腸から吸収 体に取り込まれる SP株あり 食べた脂肪 大きなかたまり 粒が大きいまま SP株が乳化を妨げる 表面積が減る 脂肪酸の放出が減る 便として排出 7日で有意に増加 吸収されなかった脂肪が出ていく。ただし「便中脂肪が増えた=7日で痩せる」ではない。 内臓脂肪が実際に減ったと確認されているのは、12週間続けた試験のほう。

一番大事な条件|やめると戻る

4週間やめただけで効果が減弱した

210人の試験(Kadooka, Br J Nutr 2013)には続きがあります。12週間の摂取が終わったあと、発酵乳をやめて4週間おいてから測り直したところ、論文はこう書いています。「the cessation of taking FM for 4 weeks attenuated these effects(4週間の摂取中止によって、これらの効果は減弱した)」。10⁷群・10⁶群のどちらでも、すべての測定項目の変化量が12週時点より小さくなっていました。

これはガセリ菌の性質としてはむしろ自然な結果です。SP株は腸に居ついてくれる株ですが、食べるのをやめれば数は減ります。仕組みが「食べた脂肪の吸収を、その場で抑える」である以上、摂っていない日の食事には効きません。

「1か月試して判断」は、そもそも設計が合っていない

効果を確かめたいなら、論文と同じ土俵に立つ必要があります。内臓脂肪が動いたと報告されている試験は、いずれも毎日・12週間です。メーカーの説明でも、有意な差が出たのは8週間と12週間の時点とされています。

1〜2週間で「効果なし」と判断するのは、12週間かけて−1.1kgの現象を、体重の日内変動の中から探そうとしているのと同じことになります。

図解2:12週間で減り、やめて4週間で戻り始める Kadooka, British Journal of Nutrition 2013(210人・発酵乳200g/日) 0% -4% -8% 開始時 12週(摂取終了) さらに4週間後 毎日200g摂取 摂取なし -8.5% 変化量が小さくなった 対照群(有意な変化なし) ※12週の値は論文の実測値。休止後は「変化量が小さくなった」との記載のみで具体的な数値は示されていないため、破線は模式図です。

「痩せた」の口コミは、どこまで信じていいか

12週で−1.1kg=体重計の日内変動に埋もれる大きさ

SNSでは「ガセリ菌ヨーグルトで4kg痩せた」「2週間で夫が2.6kg減った」といった投稿が目を引きます。ただ、論文で確認されている体重の減りは12週間で−1.1kgです。数kg単位の減量が起きているなら、それはガセリ菌以外の要因(食事量、間食、運動、体調)が動いていると考えるほうが自然です。

臨床試験は「食事も運動もいつもどおり」でヨーグルトを足しただけ

逆に、ここは強調しておきたい点です。210人の試験の方法にはこう書かれています。「Subjects consumed 200 g, as two portions of 100 g, of FM every day for 12 weeks, while they maintained their habitual mode of living including diet and exercise(被験者は12週間、毎日100gずつ2回に分けて発酵乳200gを摂取し、その間、食事や運動を含めた普段の生活様式を維持した)」。

つまり−8.5%という数字は、食事制限も運動も追加せず、発酵乳を足しただけで出たものです。小さい効果ではありますが、「頑張った結果」ではなく「足しただけの結果」という点で、この数字の価値は高いと思います。

便通が良くなって減った体重と、内臓脂肪が減ったことは別の話

ヨーグルトを毎日食べ始めると、多くの人でまず便通が変わります。ここで体重が0.5〜1kg動くことがありますが、それは腸の中身と水分です。内臓脂肪という組織が減ったわけではありません。

検査の現場でも、体重の短期変動はまず水分から疑います。1〜2日で動いた体重は、脂肪ではありません。

「効果なし」と書かれる典型パターン3つ

  1. 株が違う。「ガセリ菌」としか書かれていないサプリでは、SP株の試験結果は当てはまりません。
  2. 期間が短い。1〜2週間で判断している。論文は12週間です。
  3. 足し算になっている。今までの食事にヨーグルト1個(36kcal)を足しただけなら、そのぶんの摂取エネルギーは増えています。

ほかの株は何に効くのか|同じ「ガセリ菌」でも別物

CP2305=ストレスと睡眠

ドラッグストアで「ガセリ菌」と書かれた別の商品を見かけたら、それはCP2305かもしれません。この株は、解剖学実習や国家試験を控えた医学生を対象にした試験で、ストレス関連症状と睡眠の質を改善したと報告されています(Nishida, Journal of Applied Microbiology 2017)。

内臓脂肪の試験ではありません。同じ「ガセリ菌」でも、狙っているところがまったく違います。

BNR17=内臓脂肪(韓国の試験)

母乳から分離されたL. gasseri BNR17という株でも、内臓脂肪の試験があります。BMI 25〜35の20〜75歳90人を、プラセボ/10⁹ CFU/日/10¹⁰ CFU/日の3群に分けて12週間。高用量群では内臓脂肪面積がプラセボ群より21.6cm²少なく(P=.038)、腹囲は両用量群で開始時より有意に減りました(Kim, Journal of Medicinal Food 2018)。血液検査の項目には群間差はありませんでした。

日本の店頭で見かける機会は多くありませんが、「ガセリ菌で内臓脂肪」という現象がSP株だけの特殊事情ではないことを示す点で、参考になる試験です。

株名が書いていない「ガセリ菌配合」は、この論文を引き継げない

ここまでの話をひっくり返すようですが、大事なところです。プロバイオティクスの効果は株ごとに決まるもので、同じ菌種であっても別の株の試験結果を借りてくることはできません。パッケージに「ガセリ菌」としか書いていない商品は、SP株の−8.5%もBNR17の−21.6cm²も根拠にできません。

腸内環境を整える食べ方全般については、納豆はちみつの効果のほうでも書いています。

この論文をどう読むか|企業主導の試験であることを込みで

Kadookaらの試験は、雪印メグミルクの研究所によるもの

ここは正直に書きます。2010年・2013年の試験の筆頭著者は、雪印メグミルクのミルクサイエンス研究所(Milk Science Research Institute, Megmilk Snow Brand Co., Ltd.)の研究者です。つまりSP株を売っている会社が自ら行った試験です。

論文には「本研究は公的・商業的・非営利のいずれの機関からも特定の助成を受けていない」「著者らは利益相反がないことを申告する」と記載があります。手続きとしては二重盲検・多施設・ランダム化と、やるべきことはやっている試験です。それでも、企業が自社素材について行った試験は、都合のいい結果が出やすい方向に偏りうるというのは、研究の世界では広く知られた話です。

第三者のレビューは何と言っているか

そこで、利害関係のない立場からの評価を見ます。過去10年のランダム化比較試験21件を批判的に検討したレビュー(Athapaththu & Dey, Letters in Applied Microbiology 2026)は、プロバイオティクス全体について次のように整理しています。

  • BMIは体脂肪の指標として適切ではない。体重・BMIへの効果は小さい
  • 一方で、内臓脂肪・体脂肪率・腹囲では一貫して効果が出る
  • 効果は株に固有のもので、複数菌株を混ぜた製剤は結果がばらつく。単一株のほうが一貫している
  • 効果量は控えめ(modest)。プロバイオティクスは主たる減量手段ではなく、補助・予防として位置づけるべき

結論:効果はある。ただし主役ではなく補助

メーカーの試験と第三者のレビューは、方向としては一致しています。「内臓脂肪という出方をする」「効き幅は控えめ」「株を選ぶ必要がある」。この3点は、売り手の言い分としてではなく、外から見ても残る結論です。

検査技師の視点|効いたかどうかを何で確かめるか

まず基準を知る|内臓脂肪面積100cm²・腹囲 男性85cm/女性90cm

2005年に日本内科学会など8学会が合同で定めたメタボリックシンドロームの診断基準では、必須項目としてウエスト周囲径が男性85cm以上・女性90cm以上(内臓脂肪面積100cm²相当)とされ、これに脂質・血圧・血糖の3項目のうち2項目以上が加わると診断されます。

ガセリ菌SP株で報告されている変化は−5.8cm²です。150cm²の人が100cm²を切るような変化ではありません。境界を越えたい人は、この記事の話だけでは足りません(メタボ腹囲を減らす方法を先に読んでください)。

家庭の体組成計の「内臓脂肪レベル」では、この変化は拾えない

体組成計に出る「内臓脂肪レベル」は、体に微弱な電流を流したときの抵抗値から統計的に推定した数値で、CTで断面積を測った値とは別物です。−5.8cm²という変化は、この推定値の誤差の中に完全に埋もれます。レベル表示が1動いた・動かないで一喜一憂しても、意味のある判断はできません。

現実的に追うなら、腹囲・体重・中性脂肪/ALT

臨床検査技師として言えるのは、測るなら条件を揃えることです。腹囲は朝の空腹時に、へその高さで、軽く息を吐いたところで測る。体重は同じ時間・同じ服装で。この2つを揃えるだけで、見える変化の精度がかなり変わります。

血液検査を受ける機会があるなら、中性脂肪とALTを見てください。内臓脂肪が増えている人では肝臓にも脂肪が溜まっていることが多く、そちらの数値のほうが動きを拾いやすい場合があります(脂肪肝にいい食べ物ランキングで、読み方をまとめています)。

表2:何を・どの間隔で測ると変化が見えるか

測るもの 間隔 見方・注意点
腹囲 2週間に1回 朝・空腹時・へその高さ。1cm動けば意味がある
体重 毎日(判断は週平均で) 1〜2日の増減は水分。週の平均値で見る
中性脂肪・ALT 健診など3〜6か月ごと 食事の影響を受けるので採血条件を揃える
体組成計の内臓脂肪レベル 参考程度 推定値。数cm²の変化は判別できない
内臓脂肪面積(CT・MRI) 基本的に測らない 論文の測り方だが、この目的では被曝・費用に見合わない

あわせて読みたい

体重と腹囲のほかに、もう一段深く確かめる方法があります。腸内細菌の構成そのものを、摂りはじめる前と3か月後で比べるやり方です。何を見れば効いたと言えるのか、論文7本で整理しました。

腸内フローラ検査で痩せるのか|「痩せ菌」を見て終わると2万円が無駄になる

商品の選び方|表示区分と株名で選ぶ

恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルトは「機能性表示食品」

いちばん手に入りやすいのが、雪印メグミルクの「恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト」です。この商品は機能性表示食品で、届出表示はこうなっています。

本品にはガセリ菌SP株(L. gasseri SBT2055)が含まれます。ガセリ菌SP株には、食事とともに摂取することで肥満気味の方の内臓脂肪を減らす機能と、腸内環境を改善する機能があることが報告されています。

1日1個(100g)が目安で、1個あたり36kcalです。商品ページには「本品は特定保健用食品ではなく、国による評価を受けたものではありません」と明記されています。

ドリンクタイプでも届出表示は同じ

持ち歩きたい人向けのドリンクタイプも、同じく機能性表示食品で、届出表示は固形タイプと同一の文言です。1日1本(100g)・36kcal。飲むタイプだから効きが落ちる、という話ではありません。続けやすいほうを選んでください。

「昔トクホで見た気がする」人へ

この商品には、過去に「内臓脂肪を減らすのを助ける」特定保健用食品(トクホ)として売られていた時期があります。そのころのパッケージ画像や記事がネット上に大量に残っているため、混乱しやすいところです。2026年7月時点で店頭にある「恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト」の表示は、機能性表示食品です。

なお、同社のトクホとして現在案内されているのは「ナチュレ 恵 megumi」で、こちらの許可表示は「ガセリ菌SP株(L.ガセリSBT2055)とビフィズス菌SP株(B.ロンガムSBT2928)の働きにより、腸内環境の改善に役立ちます」=整腸であって内臓脂肪ではありません。同じブランド名でも中身が違う、という典型例です。

トクホと機能性表示食品の差は、国が製品ごとに個別審査したかどうかです。機能性表示食品は事業者が根拠を届け出る仕組みで、審査を受けていません。ただしそれは「根拠がない」という意味ではなく、ここまで見てきた論文が消えるわけでもありません。表示の格付けと、論文の中身は別に見てください。

サプリは、株名が書いてあるかで見る

錠剤・カプセルタイプを選ぶときは、商品ページや成分表示に株名(SBT2055、CP2305など)が書かれているかを確かめてください。「乳酸菌(ガセリ菌)配合」としか書かれていない場合、その商品がどの試験の結果を根拠にしているのかを、買う側が確認できません。

表3:商品タイプ別の比較

タイプ 1日の目安 向いている人 確認すること
ヨーグルト(固形) 1個 100g・36kcal 朝食・夕食に組み込める人 機能性表示食品の表示があるか
ドリンクタイプ 1本 100g・36kcal 外出が多い人 同上(届出表示は固形と同じ)
カプセル・錠剤 商品による 乳製品が苦手な人 株名の記載と1日あたりの菌数

参考までに、市販されている主な商品を挙げておきます。

メグミルク 恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト 24個
ガセリ菌

いつ・どれくらい摂るのが正解か

メーカー公式は「タイミングの指定はない。食事とともに」

雪印メグミルクのお客様センターの回答はこうです。「タイミングの指定はございませんが、食事とともに摂ることをおすすめします」。届出表示のほうも「食事とともに摂取することで肥満気味の方の内臓脂肪を減らす機能」となっており、時刻ではなく食事と一緒かどうかが条件になっています。

仕組みから考えても筋が通っています。SP株は食べた脂肪の吸収に割り込む働きなので、脂肪を含む食事と一緒に腸へ届いていないと出番がありません。

臨床試験の摂り方=発酵乳200g(100g×2回)を毎日12週間

論文と同じことをするなら、100gを1日2回、毎日12週間です。市販のヨーグルトは1日1個(100g)が目安量なので、試験の半量にあたります。メーカーは8週間・12週間の時点で有意差が出たと説明しています。

「夜22時が最適」に根拠はない

「夜22時〜2時は腸のゴールデンタイムだから、その前に摂ると効く」という説をよく見かけます。この記事にも以前そう書いていましたが、ガセリ菌SP株の試験でも、メーカーの案内でも、時刻を指定しているものはありません。訂正します。

気にするべきは時刻ではなく、①食事と一緒に摂ること、②毎日続くこと、の2点です。夜がいいと信じて夜に摂り、続かなくなるくらいなら、朝食に固定したほうが結果は出ます。

注意した方がいい人

乳糖不耐・過敏性腸症候群がある人

ヨーグルトを毎日食べ始めてお腹が張る・痛くなる・下痢をするという場合、乳糖の処理が苦手な体質か、もともと腸が刺激に敏感な可能性があります。無理に量を増やしても内臓脂肪の減り方が良くなるわけではないので(10⁶群と10⁷群でほぼ同じ結果でした)、量を減らすか、乳製品以外のタイプに変えるのが現実的です。

免疫を抑える治療中・カテーテル留置中・重い基礎疾患がある人

プロバイオティクスは基本的に安全性の高いものですが、まれに乳酸菌が血流に入る菌血症の報告があります。Lactobacillusは血液培養から検出される菌の0.1〜0.2%(免疫不全の患者では0.5%)とごく稀ですが、重い基礎疾患、免疫抑制状態、集中治療室での治療、中心静脈カテーテルの留置がリスク因子として挙げられています。

該当する方は、自己判断でサプリを始めず、主治医に確認してください。健康な人が普通のヨーグルトを食べるぶんには、心配のいらない話です。

100gあたり36kcal=足し算になっていないか

最後に地味ですが効いてくる話です。1日1個で36kcal、毎日続ければ1年で約13,000kcalになります。今までの食事に足すのではなく、間食や食後のデザートと入れ替えるほうが、内臓脂肪に対しては確実です。加糖タイプを選ぶとこの数字はさらに増えます。

よくある質問

Q. ガセリ菌はどのくらいで効果が出ますか?
A. 内臓脂肪面積に有意な差が出たと報告されているのは、摂り始めて8週間と12週間の時点です。1〜2週間では判断できません。

Q. ガセリ菌をやめたらリバウンドしますか?
A. 210人の試験では、摂取をやめて4週間後に、すべての測定項目の変化量が12週時点より小さくなっていました(Kadooka, Br J Nutr 2013)。元に戻る方向に動くと考えて、続ける前提で始めるのが現実的です。

Q. ガセリ菌ヨーグルトは夜に食べたほうがいいですか?
A. 時刻の指定はありません。メーカーの案内も届出表示も「食事とともに」です。続けやすい食事のタイミングに固定してください。

Q. サプリとヨーグルトのどちらがいいですか?
A. 内臓脂肪の試験が行われたのは発酵乳(ヨーグルト)です。サプリを選ぶ場合は、株名(SBT2055など)が明記されているかを確認してください。株名の記載がないものは、この記事で紹介した試験結果を根拠にできません。

Q. ガセリ菌は効果なしと聞きましたが本当ですか?
A. 「効果なし」と感じる原因の多くは、株が違う・期間が短い・普段の食事に足し算になっている、のいずれかです。SP株を12週間続けた試験では、内臓脂肪面積が−4.6〜8.5%減っています。ただしその大きさは体重で−1.1kg程度なので、劇的な変化を期待すると「効かない」と感じます。

Q. 恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルトはトクホですか?
A. 2026年7月時点では機能性表示食品です。過去にトクホとして販売されていた時期があるため情報が混在していますが、現在の表示は機能性表示食品です。同社のトクホ「ナチュレ 恵 megumi」は、許可表示が整腸であって内臓脂肪ではありません。

まとめ

  • 内臓脂肪の根拠があるのはガセリ菌SP株(SBT2055)。「ガセリ菌」全般の話ではない
  • 12週間で内臓脂肪面積−4.6%(87人)/−8.5%(210人)。菌数を1/10にしてもほぼ同じ
  • 体重にすると−1.1kg、腹囲−1.7cm。控えめな効果で、減量の主役にはならない
  • 試験は食事も運動もいつもどおりで、発酵乳を足しただけ。ここは評価していい
  • 4週間やめると効果は減弱する。続ける前提で始める
  • CP2305はストレスと睡眠、BNR17は内臓脂肪。株が違えば別物
  • 試験はメーカーの研究所によるもの。第三者のレビューも「内臓脂肪に出る/効果は控えめ/株特異的」で一致している
  • 恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルトは機能性表示食品(トクホではない)。1個100g・36kcal
  • 時刻ではなく食事と一緒に、毎日。家では腹囲と体重を条件を揃えて追う

参考文献

  1. Kadooka Y, Sato M, Imaizumi K, et al. Regulation of abdominal adiposity by probiotics (Lactobacillus gasseri SBT2055) in adults with obese tendencies in a randomized controlled trial. European Journal of Clinical Nutrition. 2010;64(6):636-643. PubMed
  2. Kadooka Y, Sato M, Ogawa A, et al. Effect of Lactobacillus gasseri SBT2055 in fermented milk on abdominal adiposity in adults in a randomised controlled trial. British Journal of Nutrition. 2013;110(9):1696-1703. PubMed
  3. Ogawa A, Kobayashi T, Sakai F, Kadooka Y, Kawasaki Y. Lactobacillus gasseri SBT2055 suppresses fatty acid release through enlargement of fat emulsion size in vitro and promotes fecal fat excretion in healthy Japanese subjects. Lipids in Health and Disease. 2015;14:20. PMC
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  7. Athapaththu HAD, Dey G. Anti-obesity effects of probiotics beyond BMI: a critical review of human clinical trials. Letters in Applied Microbiology. 2026;79(4):ovag041. Oxford Academic
  8. Lactobacillus Bacteremia and Probiotics: A Review. Microorganisms. 2023;11(4):896. PMC
  9. 雪印メグミルク. ガセリ菌SP株の内臓脂肪低減作用に関する臨床試験(肥満傾向の成人101名・12週間). 薬理と治療. 2013;41:895-903.(商品ページ記載の出典)
  10. 雪印メグミルク. 恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト(機能性表示食品・届出表示/1日1個100g・36kcal). 商品ページ
  11. 雪印メグミルク. 恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト ドリンクタイプ(機能性表示食品). 商品ページ
  12. 雪印メグミルク お客様センター. ガセリ菌SP株関連について(摂取タイミング・試験期間に関する回答). FAQ
  13. 雪印メグミルク. 特定保健用食品 商品一覧(ナチュレ 恵 megumi の許可表示). 商品一覧
  14. 厚生労働省 スマート・ライフ・プロジェクト. メタボリックシンドロームの診断基準(2005年・日本内科学会ほか8学会合同). 健康日本21アクション支援システム

本記事で紹介した食品は、肥満や生活習慣病の治療を目的とするものではありません。治療中の方、免疫を抑える薬を使用している方は、主治医にご相談のうえでご判断ください。

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臨床検査技師。専門は生化学検査。健診センターのデータ業務、治験コーディネーター(CRC)、総合病院、公立病院の経営推進課を経て、現在はWEBマーケティングが本業。自身が20回のダイエット失敗のあと88kgから65kgへ。論文を読んで気になったものを自分の体で試し、体重・腹囲・血液検査・体組成という数値で確かめた記録を書いています。効くものは効くと、効かないものは効かないと書きます。広告主から記事内容の指定を受けることはありません。

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