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納豆はちみつの効果は?「菌+エサで相乗」説を成分表の数字で検証

納豆にはちみつをかけた器の写真

納豆にはちみつを加えても、納豆だけのときより体にいいことが起きるという根拠はありません。組み合わせを直接調べた臨床研究が1本も無いからです。ただし「効果がない」というより、期待されている仕組みを支えるには量が足りないというのが正確なところです。

いま「納豆はちみつ」を説明するときに一番よく使われる理屈は、納豆菌という「菌」と、はちみつのオリゴ糖という「エサ」を一緒に摂ると相乗効果になる(シンバイオティクス)というものです。この記事では、臨床検査技師として毎日AST・ALT・γ-GTPや凝固検査を見ている立場から、その理屈が量として成り立つのかを成分表の数字で確かめます。あわせて、はちみつを増やしたときに悪い方向へ動いた指標も隠さずに書きます。

この記事でわかること

  • 「納豆菌+はちみつのオリゴ糖で相乗」説が、量として成り立たない理由
  • はちみつを足すと栄養とエネルギーがどれだけ増えるのか、納豆1パックからの実数
  • ナットウキナーゼのメタ解析で出た、良い数字と悪い数字の両方
  • はちみつ1日10gで悪化方向に動いた指標(AST・中性脂肪・血糖)
  • AST・ALT・γ-GTP・中性脂肪・HbA1cを食品ひとつで語れない理由
  • ワルファリン服用中・1歳未満・大豆アレルギーなど、食べてはいけない人
  • 「糸が水飴になる」「甘すぎる」を避ける、量と混ぜ方のコツ

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。納豆とはちみつを組み合わせた健康効果を直接検証した臨床研究は確認できません。紹介する研究の多くは納豆・ナットウキナーゼ・はちみつ・オリゴ糖を個別に調べたもので、この食べ方そのものの効果を示すものではありません。治療中の病気がある方、薬を服用中の方は、自己判断で食事を変えず医師・薬剤師にご相談ください。

目次

納豆はちみつの効果|先に結論

納豆はちみつは健康食品ではなく、納豆を食べやすくする味付けの一種です。糖質とエネルギーは確実に増えます。

区分 内容
期待できること 納豆の匂いと苦みが和らぎ、食べやすくなる/納豆由来のたんぱく質・食物繊維・ビタミンKを摂れる/付属のタレや砂糖の代わりに少量使える
確認されていないこと 組み合わせによる相乗効果/菌とエサのシンバイオティクス/血栓症の予防/肝機能値やHbA1cの改善/若返り・寿命が延びること
注意すること はちみつのぶん糖質とエネルギーが増える/はちみつを増やすほど中性脂肪と血糖は悪化方向に動く報告がある/ワルファリン服用中は納豆を自己判断で食べない/1歳未満にはちみつを与えない/大豆アレルギーがある人は納豆を食べない

「効果がない」という意味ではありません。納豆そのものには後述するとおり研究の蓄積があります。ただしそれは納豆の研究であって、はちみつを足したことによる上乗せを示した研究ではない、という区別が必要です。

「納豆菌+はちみつのオリゴ糖で相乗」は成り立つのか

成り立ちません。菌は腸に届きますが、はちみつのオリゴ糖はエサとして数えられる量に届かないからです。

この説は2つの主張でできています。①納豆菌は生きて腸に届く、②はちみつのオリゴ糖がその菌のエサになる。順に見ると、①は支持できて、②が桁で崩れます。

菌が腸に届くところまでは支持できる

枯草菌の芽胞は胃酸を通過し、摂取3時間後に小腸で発芽したことが報告されています。

回腸ストーマの患者11人を対象にした二重盲検クロスオーバー試験では、Bacillus subtilis DE111株を飲んだ3時間後に回腸の排出液から芽胞と栄養型の菌が検出され、6時間後には芽胞が9.7×107 CFU/gまで増えました(Colom, Front Microbiol 2021)。

ただし2点、そのまま納豆に持ち込めない事情があります。ひとつは、これがサプリメント用のDE111株の試験であって、納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)そのものを調べたものではないこと。もうひとつは、この試験の著者の多くがプロバイオティクス製品を扱う企業の所属だと論文自身が開示していることです。「枯草菌の仲間は胃を通れる」までは言えますが、「納豆菌が同じように届く」と一般化はできません。

エサの量が2桁以上足りない

腸内のビフィズス菌が増えたのは1日7.5〜15g。はちみつ小さじ1/2では2桁足りません。

根拠はフラクトオリゴ糖のランダム化比較試験8件・388人を統合した解析です。1日5gを超える群のほうが5g以下の群より効果が明確に大きく、著者らは7.5〜15g・4週間超をより確かな条件として挙げています(Dou, Nutrients 2022)。

一方、はちみつ側の数字です。文部科学省の食品成分データベースによると、はちみつ100gの糖の内訳はぶどう糖33.2g・果糖39.7g・しょ糖0.3g・麦芽糖1.5gで、糖のほぼ全量が単糖と二糖です。オリゴ糖は成分表に項目そのものが立ちません。

項目が無いので、ここでは上限として「はちみつの1%がオリゴ糖だったら」と仮に置いて計算します。実際にはこれより少ないはずです。

条件 はちみつの量 オリゴ糖(1%と仮定) 7.5gに対する比
この記事で勧める量 小さじ1/2(約3.5g) 約0.035g 約214分の1
小さじ1杯 約7g 約0.07g 約107分の1
大さじ1杯(かなり甘い) 約21g 約0.21g 約36分の1
菌が増えたと確認された量 7.5〜15g 1

上限を多めに見積もってもこの差です。「菌にエサをやる」ためにはちみつを足すのであれば、桁が2つ足りません。逆に足りる量まで増やすと、今度は糖質が1日20g以上になり、後述する悪化方向の報告のほうが現実味を帯びます。

図解1:エサの量が桁で足りない オリゴ糖の量。はちみつ側は「はちみつの1%がオリゴ糖」と上限で仮に置いた場合の値 菌が増えた量 1日 7.5〜15g(4週間以上) 大さじ1杯 約0.21g(36分の1) 小さじ1杯 約0.07g(107分の1) 小さじ1/2 約0.035g(214分の1)=この記事で勧める量 ※上限で見積もってこの差。実際のオリゴ糖はこれより少ない

腸内の菌が自分の食事でどう動いたかを見たいのであれば、量の足りない食品を足すより、食べる前と3か月後の2回を測るほうが答えに近づきます。何が分かって何が分からないかは腸内フローラ検査で痩せるのか|「痩せ菌」を見て終わると2万円が無駄になるで整理しました。

納豆にはちみつを入れると何が変わるのか

変わるのは味・糸の固さ・糖質とエネルギーの3つだけです。たんぱく質と食物繊維は増えません。

はちみつがほぼ糖分でできているためです。ビタミンKも増えません。順に数字で見ます。

味と粘りは変わる

甘みで匂いが和らぐ一方、糸が水飴のように固くなります。X上の不満はこの食感に向かっています。

X上の投稿でも、否定的な感想は味そのものより糸の変化に集中していて、「糸が水飴みたいに固くなってびっくり」「もはやねり飴だねそれは」といった書かれ方をします。逆に肯定的な声は「においが和らいで食べやすくなった」「子どもがはちみつをかけないと納豆を食べない」といったものです。

この現象がなぜ起きるのかを確かめた研究は見つかりません。糖が水分を抱え込み、納豆の糸を引く成分(ポリグルタミン酸)の粘りに絡むためだと説明されることが多い、という段階の話です。実用上は、少量なら「みたらし団子のよう」と表現され、入れすぎると粘りが重くなる、と押さえておけば足ります。

納豆1パックのカロリーと、はちみつを足した後の数字

納豆1パック45gは約83kcal。はちみつ小さじ1/2を足すと約94kcalになります。

増えるのは約11kcalと糖質約2.6gだけです。日本食品標準成分表の値で並べます。

組み合わせ エネルギー たんぱく質 食物繊維 糖質(利用可能炭水化物) ビタミンK
納豆1パック(45g)のみ 約83kcal 約7.4g 約3.0g 約0.3g 約270µg
+はちみつ小さじ1/2(約3.5g) 約94kcal 約7.4g 約3.0g 約2.9g 約270µg
+はちみつ小さじ1杯(約7g) 約106kcal 約7.4g 約3.0g 約5.6g 約270µg

はちみつは100gあたり利用可能炭水化物が75.3g、エネルギーが329kcalです。小さじ1/2の糖質約2.6gは角砂糖1個(約3g)とほぼ同じと考えてください。付属のタレにも砂糖と食塩が含まれているので、タレの代わりに使うのであれば糖質の増え方はさらに小さくなります。

糖の種類としては、はちみつは果糖とぶどう糖が主体です。果糖は肝臓で優先的に代謝される性質があり、清涼飲料などで大量に摂ると問題になります。この点は果糖ぶどう糖液糖の記事で詳しく書きました。ただし小さじ1/2という量は、飲料1本に含まれる糖(20〜50g)とは桁が違います。量で考えてください。

納豆の成分と、実際の研究で分かっていること

納豆側で確かめられているのは血中ポリアミンの上昇と、発酵性大豆食品と死亡率の関連までです。

そしてここで挙げる研究はすべて納豆かナットウキナーゼの単体を調べたもので、はちみつを足した状態を調べたものではありません。それを前提に読んでください。

ポリアミン:血中濃度が上がることは示されている

納豆を2か月食べ続けると血中スペルミンが上がります。測ったのは濃度で、病気の予防ではありません。

介入試験では、健康な男性10人が納豆を1日平均66.4gずつ2か月間食べたところ、血中スペルミン濃度が平均1.39倍に上昇しました(Soda, J Nutr Sci Vitaminol 2009)。ポリアミンの多い食品を除いた対照群7人では変化がありませんでした。「血中濃度が上がった」から「体に良い効果があった」へは飛べません。

関連する観察研究として、イタリア・ブルーニコの住民829人(45〜84歳)を1995年から2015年まで追跡した調査があります。追跡期間中に341人が死亡し、食事から摂るスペルミジンが1標準偏差多い人ほど総死亡のハザード比が0.76(95%信頼区間 0.67〜0.86)と低いという関連が報告されました(Kiechl, Am J Clin Nutr 2018)。ただしこれは食事質問票にもとづく観察研究で、生活習慣などの影響を完全には除けません。納豆を食べれば寿命が延びると示した研究ではありません。

ナットウキナーゼ:良い数字と悪い数字が両方出ている

血圧は下がった一方、低用量では悪玉コレステロールと血糖が上がりました。しかもサプリの試験です。

「納豆は血液をサラサラにする」と語られる根拠は、たいていナットウキナーゼの研究です。ただしこれはサプリメントの試験であって、市販の納豆1パックを食べた話ではありません。ここを外すと以下の数字はすべて意味が変わります。ランダム化比較試験6件・546人を統合したメタ解析の結果です(Li, Rev Cardiovasc Med 2023)。

指標 プラセボとの差 向き
収縮期血圧 −3.45(95%CI −4.37〜−2.18) 下がった
拡張期血圧 −2.32(95%CI −2.72〜−1.92) 下がった
総コレステロール(低用量群) +5.27(95%CI 3.74〜6.81) 上がった
LDLコレステロール(低用量群) +6.49(95%CI 0.83〜12.15) 上がった
HDLコレステロール(低用量群) −2.76(95%CI −3.88〜−1.64) 下がった
血糖 +0.40(95%CI 0.20〜0.60) 上がった
中性脂肪 有意差なし

血圧は下がりましたが、用量が少ない群では総コレステロールとLDLが上がり、HDLは下がり、血糖もわずかに上昇しています。著者ら自身、高血圧の補助としては支持できるが、低用量では脂質を下げる効果は期待できないだろう、と書いています。「血液がサラサラになる」という一言で片づく内容ではありません。

凝固の側では、健康な若年男性12人に規格化されたナットウキナーゼ2,000FUを1回だけ飲んでもらった二重盲検試験があります。Dダイマーが摂取6時間後・8時間後に、FDPが4時間後に上昇しましたが、変化した値はすべて基準範囲内でした(Kurosawa, Sci Rep 2015)。

検査を扱う立場から補足します。Dダイマーは血栓ができて溶かされる過程で上がる項目です。この試験では線溶反応の指標として解釈されていますが、「Dダイマーが上がった=血液がサラサラになった」という説明は正確ではありません。基準範囲内という事実も、安心材料ではなく「臨床的に意味のある変化かどうかは分からない」という限界を示すものです。そして、規格化されたカプセル2,000FUと市販の納豆1パックに含まれる量が同じという保証はありません。

納豆そのものの疫学研究

発酵性大豆食品をよく食べる群は総死亡が約10%低いという関連があります。因果ではありません。

日本の大規模コホート研究で、45〜74歳の約9万2千人を追跡した解析の結果です(Katagiri, BMJ 2020)。発酵性大豆食品は納豆と味噌を指し、大豆製品全体では関連が見られなかったのが特徴です。観察研究であり、納豆が死亡率を下げると証明したものではありません。

なお、納豆菌はヨーグルトの乳酸菌とは別の菌です。腸内環境の話をひとまとめにしがちですが、菌の種類ごとに報告されている内容は異なります。乳酸菌側の研究についてはガセリ菌の記事で整理しています。

はちみつの研究|1日10gで悪い方向に動いた指標がある

1日10gでHbA1cは下がる一方、AST・中性脂肪・血糖は悪化方向に動いたと報告されています。

メタ解析とランダム化比較試験69件・3,544人を検討したアンブレラレビューの結果です(Norouzzadeh, Nutr Diabetes 2025)。悪化方向に動いた指標には収縮期血圧とCRPも含まれます。著者らは、健康上の心配がある人の長期摂取や高用量摂取には注意が要ると結論づけています。

以前からある解析では逆の向きも報告されています。18試験・1,105人を統合した解析では、空腹時血糖が0.20mmol/L(約3.6mg/dL)、空腹時中性脂肪が0.13mmol/L(約11mg/dL)低下しました(Ahmed, Nutr Rev 2023)。つまり、はちみつの代謝への影響は解析によって向きが分かれている段階です。

どちらの結果も、そのまま納豆はちみつには当てはめられません。理由は3つあります。

  1. 比較条件がばらばら。はちみつを通常の食事に追加した試験、砂糖類と置き換えた試験などが混在しています。
  2. 使われた量が桁違い。基準になっている1日10gは、納豆に小さじ1/2(約3.5g)加える量の3倍近くあります。
  3. 確実性の評価が低い。いずれの著者も、健康的な食事パターンの中で摂った場合に一部の指標が動く「可能性」がある、という書き方をしています。

そのうえで、この記事が小さじ1/2を勧める理由を書いておきます。用量と効果の関係が直接調べられているわけではないので「小さじ1/2までなら安全」とは言えません。言えるのは、10gですら悪化方向の報告が出ている以上、はちみつを増やす理由が見当たらないということです。増やして得られるものが確認されていない一方で、増やしたときに悪い方向へ動いた記録はある。それだけの話です。

研究 何を調べたか 対象 結果 この記事で言えること
Soda, J Nutr Sci Vitaminol 2009 納豆の継続摂取と血中ポリアミン 男性10人(対照7人)・2か月 血中スペルミンが平均1.39倍 血中濃度は上がる。健康への効果は測っていない
Kiechl, Am J Clin Nutr 2018 食事性スペルミジン摂取と死亡率 829人・1995〜2015年の観察 1SD多いほど総死亡HR 0.76 関連であって因果ではない
Kurosawa, Sci Rep 2015 ナットウキナーゼ単回投与と凝固・線溶 健康な男性12人・二重盲検 Dダイマー等が変化。すべて基準範囲内 サプリの試験。納豆にも当てはまるとは言えない
Li, Rev Cardiovasc Med 2023 ナットウキナーゼと心血管リスク因子 6試験546人のメタ解析 血圧は低下。低用量群でLDLと血糖が上昇 サプリの試験。良い数字と悪い数字が同居している
Katagiri, BMJ 2020 発酵性大豆食品と死亡率 約9万2千人の観察 摂取多い群で総死亡が約10%低い 納豆を含む食習慣との関連
Ahmed, Nutr Rev 2023 はちみつと代謝指標 18試験・1,105人 空腹時血糖・中性脂肪がわずかに低下 はちみつ単独・量も条件も異なる
Norouzzadeh, Nutr Diabetes 2025 はちみつ等の用量と心血管代謝指標 69試験3,544人のアンブレラレビュー 1日10gでHbA1cは低下、AST・中性脂肪・血糖等は悪化方向 増やす方向に利点が見えない
Dou, Nutrients 2022 フラクトオリゴ糖と腸内細菌 8試験388人のメタ解析 ビフィズス菌が増加。7.5〜15g・4週間超で明確 はちみつ小さじ1/2では量が2桁足りない

はちみつ納豆はダイエットになるのか

なりません。痩せたという研究はなく、増やすほど中性脂肪と血糖が悪化方向に振れる報告があります。

小さじ1/2で増えるのは約11kcalなので、体重に対しては誤差の範囲です。ダイエットの文脈で言えることは2つだけです。

  • 置き換えとしてなら意味がある。付属のタレや砂糖の代わりに小さじ1/2を使うのであれば、糖質の増加はほとんどありません。
  • 追加としては意味がない。いつもの納豆にはちみつを足すだけなら、1日あたり約11kcal・糖質約2.6gを純粋に上乗せしているだけです。

「甘いものを足したのに痩せる」という説明を見かけたら、量と置き換えの区別が抜けていないかを確認してください。はちみつ自体のダイエット効果についてははちみつダイエットは嘘?痩せる根拠と大さじ1杯69kcalを検証で、大さじ1杯あたりのカロリーから検証しています。

検査値から見た注意点

納豆はちみつでAST・ALT・γ-GTP・中性脂肪・HbA1cがどう動くかを測った研究はありません。

このサイトを書いているのは臨床検査技師です。だからこそはっきり書いておきますが、食品ひとつと検査項目を一対一で結びつけることはできません。それぞれの項目が何を反映しているかを並べます。

検査項目 主に反映するもの 納豆はちみつの直接研究 言える範囲
AST・ALT 肝細胞の障害。脂肪肝・飲酒・薬剤・運動・肝炎など多数の要因 なし 食品一品では評価できない。はちみつ10gでASTが悪化方向という報告はある
γ-GTP 飲酒・胆道系の異常・薬剤 なし 同上。禁酒の影響のほうが大きい
中性脂肪 直近の食事・飲酒・糖質の摂取量・採血前の絶食時間 なし(はちみつ単独の解析は向きが分かれている) はちみつを砂糖の代わりにする選択肢まで
HbA1c 過去1〜2か月の平均血糖 なし 小さじ1/2の糖質量で語れる項目ではない
PT-INR ワルファリンの効き具合。ビタミンK摂取の影響を強く受ける 服用者は納豆を避ける(後述)

健康診断で数値を指摘された場合は、食品で様子を見ずに医療機関を受診してください。数値そのものを動かしたい場合、食品を足すことより先に効くものがあります。脂肪肝と検査値の記事に、研究で差がはっきりついている順に整理しました。

図解2:どこまで分かっていて、どこから分かっていないのか 確かめられている ・納豆で血中スペルミンが 1.39倍(10人・2か月) ・NKサプリで血圧が低下、 低用量ではLDLが上昇 ・はちみつ10gでASTと 中性脂肪が悪化方向 (69試験3,544人) 分かっていない ・納豆+はちみつの 組み合わせによる上乗せ ・血栓症を防ぐかどうか ・AST/ALT/γ-GTP/ HbA1cが動くかどうか ・食べる時間帯による差 はっきり避けること ・ワルファリン服用中の 納豆(ビタミンK) ・1歳未満へのはちみつ (乳児ボツリヌス症) ・大豆アレルギーの人の 納豆 ※NK=ナットウキナーゼ。左の3件はいずれも納豆はちみつそのものを調べた研究ではありません

納豆はちみつの作り方と失敗しないコツ

小さじ1/2から始め、からしは入れず、納豆をよく混ぜてから最後にはちみつを加えるのが失敗の少ない型です。

量は小さじ1/2から

この記事では、甘さと追加糖質を抑える出発点として小さじ1/2(約3.5g)を勧めます。

研究で「この量が効く」と決まっているわけではないので、これは効き目の基準ではなく実用上の出発点です。足りなければ少しずつ増やしてください。X上で「失敗した」と書かれている例の多くは、最初から大さじで入れて糸が固くなった、甘さが強く出た、というものです。

手順は2つの流派に割れている

先に混ぜるか後から入れるかで分かれます。どちらが正しいと決められる根拠はありません。

流派 手順 向いている目的
後入れ(この記事の推奨) 納豆を先によく混ぜて糸を立ててから、最後にはちみつを加える 納豆らしい粘りを残したまま甘みを足したい
先入れ(レシピサイトに多い型) 付属のタレを入れて軽く混ぜ、はちみつを加えてからよく混ぜる ふわふわとした軽い口当たりにしたい

先入れ型は付属のタレを併用します。タレとはちみつを両方入れると甘じょっぱさが強く出て、糖質も重なります。糖質を増やしたくないなら、タレを抜いてはちみつだけにするか、タレを半分残す形にしてください。

からしは合わない。粒マスタードという選択肢がある

この記事では付属のからしを抜く食べ方を勧めます。甘みと和がらしの刺激がぶつかるためです。

「甘みと辛みがぶつかって食べにくい」という感想はX上でも見かけますが、味の好みの範囲であり、確かめた調査があるわけではありません。代わりの選択肢として、2024年10月1日放送のNHK『あさイチ』で、料理研究家の島本美由紀さんが納豆にはちみつをかけ、そこに粒マスタードを少し足す食べ方を紹介しています。和がらしより酸味が立つぶん、甘さの角が取れます。

熱いご飯に乗せると意味がなくなるのか

なくなりません。食べ方の違いで健康上の結果が変わることを確かめた臨床研究がないからです。

ナットウキナーゼは酵素なので熱に弱い性質があり、活性を保ちたい場合は加熱を避けて少し冷ましたご飯に乗せる方法はあります。ただし前述のとおり、ナットウキナーゼの試験は規格化されたサプリメントで行われたものです。「熱いご飯に乗せたら無意味になる」という説明は、確かめられていない前提の上に立っています。

入れすぎたときの立て直し

捨てなくて構いません。酢醤油を足して甘酢和えに寄せると食べられるという立て直しの例があります。

ほかにも、豆腐に乗せてかさを増やす、刻んだ梅を足して酸味を入れる、青のりを振るといった調整で甘みが分散します。

食べないほうがよい人・注意が必要な人

ワルファリン服用中・1歳未満・大豆アレルギー・糖尿病治療中・食事制限中の5つは対象外です。

ワルファリンを服用している人

ワルファリン服用中の人は納豆を原則として避けます。ビタミンKが薬の効きを弱めるためです。

糸引き納豆のビタミンK含有量は100gあたり約600µgで、1パックでも約270µgになります。さらに納豆菌は腸内でビタミンKを産生するため、影響が長く続きます。100g摂取後にトロンボテスト値への影響が3日以上続いたという報告もあります。

「血液をサラサラにする作用が重なって危ない」という説明を見かけますが、これは逆です。薬の効きが弱まる方向に働きます。少量なら大丈夫と自己判断せず、主治医または薬剤師の指示に従ってください。なお、DOACなど他の抗凝固薬はビタミンKとの関係が異なります。ただし基礎疾患があること自体は変わらないため、継続的に食べ始める前に医療者へ確認してください。

1歳未満の乳児

1歳未満の子どもにはちみつを与えてはいけません。加熱しても乳児ボツリヌス症は防げません。

納豆に混ぜた場合も同じです。離乳食で納豆を使うこと自体は問題ありませんが、はちみつは1歳を過ぎてからにしてください。

大豆アレルギーがある人

大豆アレルギーがある人は納豆を食べないでください。はちみつを混ぜても大豆であることは変わりません。

糖尿病で治療中の人

はちみつも糖質です。健康食品として無制限に追加せず、主治医・管理栄養士に確認してください。

糖質制限中の人も、小さじ1/2で約2.6gという数字を踏まえて量で管理してください。

食事制限を受けている人

腎臓病などで制限を受けている場合は、納豆のたんぱく質とカリウムを踏まえ個別の指示を優先します。

よくある質問

Q. 付属のタレは捨てたほうがいいですか。

A. 捨てる必要はありません。「タレは添加物の塊だから捨ててはちみつに替えたほうがいい」という説を見かけますが、何が入っているかは製品ごとに違うので、パッケージの原材料名と栄養成分表示を見るほうが早いです。判断材料になるのは食塩相当量で、これはタレを半分残すだけでも減らせます。はちみつと両方入れると甘じょっぱさが強くなるので、味の面では入れるならどちらか一方にしてください。

Q. はちみつ納豆は毎日食べても大丈夫ですか。

A. 健康な人が納豆1パックにはちみつ小さじ1/2程度を毎日食べることは、通常の食事の範囲です。ただしワルファリンを服用している場合は毎日どころか少量でも避けてください。増えるのは1日あたり約11kcal・糖質約2.6gなので、その分をどこかで調整すれば体重への影響はごくわずかです。

Q. はちみつの代わりに砂糖やメープルシロップでもいいですか。

A. 味の好みで選んで構いません。ただし同じ「小さじ1/2」でも重さが違う点に注意してください。はちみつは水分が少なく密度が高いので、同じ容量なら砂糖より重くなります。甘味料の種類を納豆との組み合わせで比べた研究はないので、種類ではなく入れた量をグラムで見るほうが管理になります。

Q. どれくらい続ければ変化が分かりますか。

A. 味に慣れるかどうかは数日で分かりますが、体の変化を数字で見るのは無理です。組み合わせを調べた研究が無いので観察の目安になる期間もありません。HbA1cは過去1〜2か月の平均血糖を映す項目なので、仮に測ってもその間に食べた全部の影響が混ざった値になり、納豆はちみつのぶんだけを取り出すことはできません。

Q. 黒はちみつやマヌカハニーなら効果が違いますか。

A. 種類による違いを納豆との組み合わせで比べた研究はありません。未加工のはちみつのほうが代謝指標の変化が大きかったとする報告はありますが、試験数が限られており、量も納豆に足す量とは桁が違います。味の好みで選んで差し支えありません。

Q. 朝と夜、どちらに食べるのがいいですか。

A. 時間帯による違いを確かめた研究はありません。食べやすい時間で構いません。「夜に食べると血液がサラサラになる」といった説明を見かけますが、根拠となる比較試験はありません。

Q. きなこや牛乳を足すのはどうですか。

A. 味の好みの範囲です。きなこを足せばたんぱく質と食物繊維が少し増えますが、エネルギーも増えます。組み合わせを増やしても健康効果が積み上がるという根拠はないので、食べ続けられる味かどうかで決めてください。

まとめ

納豆はちみつは味付けとしては成立し、健康効果の上乗せとしては裏づけがない、というのが現時点の整理です。

よく語られる「菌+エサで相乗」という理屈は、はちみつ側のオリゴ糖が桁で足りないため成り立ちません。納豆自体には血中ポリアミンの上昇や、発酵性大豆食品と死亡率の関連といった報告があります。ただしそれは納豆の話であって、はちみつを足したことによる効果ではありません。はちみつを増やしても、得られるものは確認されておらず、1日10gで悪化方向に動いた指標のほうが記録に残っています。

次にやることは3つだけです。量は小さじ1/2から。ワルファリンを飲んでいる人と1歳未満の子どもは対象外。検査値が気になっているなら、食品を足す前に見直すものがある。この3点さえ外さなければ、あとは好みで選べる食べ方です。

参考文献

本記事で引用した研究と公的資料の一覧です。いずれも撤回・懸念表明がないことを確認しています。

  1. Soda K, et al. Long-term oral polyamine intake increases blood polyamine concentrations. J Nutr Sci Vitaminol. 2009;55(4):361-366. PubMed
  2. Kiechl S, et al. Higher spermidine intake is linked to lower mortality: a prospective population-based study. Am J Clin Nutr. 2018;108(2):371-380. PubMed
  3. Kurosawa Y, et al. A single-dose of oral nattokinase potentiates thrombolysis and anti-coagulation profiles. Sci Rep. 2015;5:11601. PubMed
  4. Li X, et al. Nattokinase supplementation and cardiovascular risk factors: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Rev Cardiovasc Med. 2023;24(8):234. PubMed
  5. Katagiri R, et al. Association of soy and fermented soy product intake with total and cause specific mortality: prospective cohort study. BMJ. 2020;368:m34. PubMed
  6. Ahmed A, et al. Effect of honey on cardiometabolic risk factors: a systematic review and meta-analysis. Nutr Rev. 2023;81(7):758-774. PubMed
  7. Norouzzadeh M, et al. Dosage exploration of the effects of honey and its derivatives on cardiometabolic outcomes: an overview of systematic reviews and GRADE-assessed updated meta-analysis. Nutr Diabetes. 2025;15(1):48. PubMed
  8. Dou Y, et al. Effect of fructooligosaccharides supplementation on the gut microbiota in human: a systematic review and meta-analysis. Nutrients. 2022;14(16):3298. PubMed
  9. Colom J, et al. Presence and germination of the probiotic Bacillus subtilis DE111 in the human small intestinal tract. Front Microbiol. 2021;12:715863. PubMed
  10. 文部科学省 日本食品標準成分表(糸引き納豆・はちみつ). 食品成分データベース
  11. 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA). ワルファリンと納豆・クロレラ・青汁について. PMDA

この記事を書いた人

臨床ブロガー 臨床検査技師/18年・88kg→65kg

検査値を通して人の体を見てきました。論文を確認し、自分の実測とは分けて書いています。医師・管理栄養士ではなく、診断・治療・服薬の判断は行いません。

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臨床検査技師。専門は生化学検査。健診センターのデータ業務、治験コーディネーター(CRC)、総合病院、公立病院の経営推進課を経て、現在はWEBマーケティングが本業。自身が20回のダイエット失敗のあと88kgから65kgへ。論文を読んで気になったものを自分の体で試し、体重・腹囲・血液検査・体組成という数値で確かめた記録を書いています。効くものは効くと、効かないものは効かないと書きます。広告主から記事内容の指定を受けることはありません。

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