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4つのプランの栄養基準と、実際にいくらかかるのか。継続割の解約条件と、向いていない人の条件まで、公式に出ている数字だけで並べました。

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ケトジェニックダイエットとは?やり方・食事・コンビニを論文で検証

木のテーブルに並べたほうれん草・卵・アボカド・ナッツ・オリーブオイル・チーズ

ケトジェニックって、結局どこから糖質制限と違うんですか?

量が違います。そして、量よりも「残ったエネルギーを何で埋めるか」のほうが、実際にはずっと難しい部分です。

ごはん茶碗1杯(150g)の糖質は53.4gです。ケトジェニックでよく使われる目安は1日20〜50g。つまり、茶碗1杯で1日ぶんが終わります。私は臨床検査技師として18年、数字がどんな条件で出たものかを確かめる仕事をしてきました。この記事では、そのやり方で「ケトジェニックとは何か」「1日ぶんの食事は実際どうなるか」「本当に痩せるのか」を分けて書きます。

この記事でわかること
ケトジェニックの定義:糖質20〜50g程度まで減らして栄養性ケトーシスを狙う食事法であること。20gは「より厳しい設定の一例」であって絶対的な定義ではないこと
20g・50gの実寸:ごはん茶碗1杯で53.4g、コンビニおにぎり1個で42.9g(枠の86%)
やり方とPFC:1,800kcalを糖質5%・たんぱく質20%・脂質75%で組むと、脂質は150gになること
1日ぶんの献立:糖質20g以内は組める。実際に組んだら糖質11.1g・1,470kcalになったこと
コンビニで買えるもの:各社公式の栄養成分表示から、枠を使わない商品と、表示の読み方
本当に痩せるのか:同じ約0.9kgの差が、一方では「有意に優れる」、一方では「ほとんど差がない」と評価されている理由
ケトーシス=痩せている、ではないこと。呼吸商が下がっても、その脂肪が体脂肪由来とは限らないこと

※この記事の「糖質」は、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の炭水化物量から食物繊維総量を差し引いて算出しています(糖質=炭水化物−食物繊維)。食品成分表には別に「利用可能炭水化物」という項目もありますが、本記事では市販食品の栄養成分表示と比べやすくするため、この方法に統一しています。
※この記事は減量目的の食事法としてのケトジェニックを扱います。てんかんの治療食としてのケトン食、糖尿病の食事療法は医師の管理下で行うものであり、この記事の対象外です。
糖尿病の治療を受けている方、とくにSGLT2阻害薬を使用中の方は、自己判断でこの食事法を始めないでください。妊娠中・授乳中の方、腎臓・肝臓に持病のある方、薬を飲んでいる方も、始める前に医師に相談してください。この記事は診断・治療に代わるものではありません。

目次

ケトジェニックダイエットとは何か|糖質制限との違い

糖質を大きく減らして、脂肪酸から作られるケトン体を主なエネルギー源として使う状態(栄養性ケトーシス)を狙う、高脂質・低糖質の食事法です。

「糖質制限の厳しい版」と説明されることが多いのですが、それだと半分しか合っていません。ふつうの糖質制限は糖質を減らすことが目的です。ケトジェニックはケトーシスという状態に入ることを狙っているところが違います。減らす量が違うのは、その結果です。

糖質の目安は1日20〜50g程度。ただし20gは「決まり」ではありません

研究でよく使われる線引きは1日50g未満です。20gはより厳しい設定の一例で、絶対的な定義ではありません。

後で紹介するメタ解析(Bueno, Br J Nutr 2013)では、超低糖質ケトジェニック食を「糖質1日50g以下の食事」と定義しています。一方、実践者向けの情報では「20g以下」がよく出てきます。どちらも間違いではなく、20gのほうが厳しい設定というだけです。

そしてケトーシスに入る糖質量には個人差があります。同じ50gでも入る人と入らない人がいます。「20gまで落とさないとケトではない」という言い方は、根拠のある基準ではありません。

ケトン体とは何か

糖質が足りないときに、肝臓が脂肪酸から作る代替燃料です。

体はふだんブドウ糖を主な燃料にしています。糖質の摂取が大きく減ると、肝臓が脂肪酸を材料にケトン体(アセト酢酸・β-ヒドロキシ酪酸・アセトン)を作り、脳を含む組織がこれを使うようになります。この状態が栄養性ケトーシスです。

栄養性ケトーシスと、糖尿病性ケトアシドーシスは別のものです

名前が似ていますが、まったく違います。後者は治療を要する病態です。

栄養性ケトーシスは、糖質を減らしたときに起こる生理的な代謝の切り替わりです。糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)は、インスリンの作用が極端に不足してケトン体が過剰に蓄積し、血液が酸性に傾く救急疾患です。両者は起きている量の桁が違います。

ただし「別のものだから安心」で終わらせてはいけない場面があります。糖尿病の治療でSGLT2阻害薬を使っている方では、非常に低糖質な食事がケトアシドーシスのリスク因子として挙げられています。この記事の後半で、あらためて触れます。

糖質制限とどう違うか|段で見る

糖質量で並べると、ケトジェニックはいちばん下の段にあたります。

表1 糖質を減らす食事法の段(この記事の中での便宜的な比較)
1日の糖質主食の扱いケトーシスを狙うか
ゆるい糖質制限130g前後1日1〜2食は食べる狙わない
スーパー糖質制限60g前後基本的に食べない結果的に入ることがある
ケトジェニック20〜50g食べない狙う(これが目的)

※この130g/60g/20〜50gという区切りは、世界共通の分類ではありません。読者が自分の位置を掴めるように、この記事の中で便宜的に並べたものです。

上の2段については、糖質は一日何グラム?270g・130g・60gを女性向けに論文で分解で扱っています。この記事はその先の段の話です。

なお、ケトン食のもともとの用途はてんかんの治療食です。減量目的の使い方はその後に広がったもので、医療として行うケトン食とは管理の厳密さが違います。

Q. ケトジェニックは1日何グラムまで糖質を摂っていいですか。

A. 20〜50g程度が目安です。研究で使われる定義は50g以下。20gはより厳しい設定の一例です。どこでケトーシスに入るかには個人差があるので、「まず50gで始めて、様子を見て下げる」という組み方でも矛盾しません。

糖質1日20g・50gは、どれくらいの食事量か

ごはん茶碗1杯で53.4g。それだけで「1日50g」の枠は終わります。

ここが、この記事でいちばん先に見てほしい数字です。数値は日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の収載値から、それぞれの目安量ぶんを計算したものです。

表2 主食・果物・根菜の糖質早見(日本食品標準成分表〈八訂〉増補2023年から算出)
食品(食品番号)目安の1食分糖質1日50gの枠に対してエネルギー
ゆで中華めん(01048)1玉 230 g60.7 g121%306 kcal
ごはん 水稲めし 精白米(01088)茶碗1杯 150 g53.4 g107%234 kcal
ゆでうどん(01039)1玉 250 g50.8 g102%238 kcal
ゆでそば(01128)1人前 200 g46.2 g92%260 kcal
おにぎり(01111)1個 110 g42.9 g86%187 kcal
さつまいも 皮つき 生(02045)中1/2本 100 g30.3 g61%127 kcal
角形食パン(01026)6枚切り1枚 60 g25.3 g51%149 kcal
バナナ 生(07107)1本 可食部 90 g19.3 g39%84 kcal
西洋かぼちゃ 生(06048)煮物3切れ 80 g13.7 g27%62 kcal
普通牛乳(13003)コップ1杯 200 g9.6 g19%122 kcal
たまねぎ 生(06153)1/4個 50 g3.5 g7%16 kcal
にんじん 皮つき 生(06212)1/3本 50 g3.2 g6%18 kcal

※糖質=炭水化物−食物繊維総量として、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の収載値から算出しています。文部科学省の成分表にある「利用可能炭水化物」とは同義ではありません。麺類の値は麺だけのもので、スープ・タレ・具は含んでいません。目安量は一般的な1食分として置いた重量です。

コンビニおにぎり1個で、1日の枠の86%が消えます

110gのおにぎり1個で42.9g。50gの枠のうち86%です。

「昼はおにぎり1個だけにした」は、ふつうのダイエットなら節制です。ケトジェニックではその1個で1日ぶんがほぼ終わります。20gを狙っているなら、最初から枠を2倍超えています。

ゆで中華めんは1玉230gで60.7gです。ただしこれは麺だけの値で、スープもチャーシューもメンマも入っていません。「ラーメン1杯」で計算した数字ではない、ということは押さえておいてください。

「主食を抜けばケト」ではありません

主食を抜いても、根菜と果物と調味料で枠は埋まります。

表2の下半分を見てください。バナナ1本で19.3g、かぼちゃの煮物3切れで13.7g、牛乳コップ1杯で9.6g。この3つだけで42.6gです。ごはんを1粒も食べていなくても、20gの枠はとっくに超えています。

臨床検査技師として検査値を見てきた立場から言うと、「何を抜いたか」ではなく「合計がいくつか」でしか状態は決まりません。抜いたものの数を数えるより、足した数字を合計するほうが確実です。

ケトジェニックのやり方|PFCの決め方と、実際に必要な脂質の量

先に1日の摂取エネルギーを置いて、そこから糖質・たんぱく質・脂質に割り振ります。

まず自分の摂取エネルギーを置く

この記事では1,800kcalを計算例として使いますが、これは例です。

必要なエネルギー量は年齢・体格・活動量で変わります。1,800kcalが多すぎる人も少なすぎる人もいます。以下の数字は「配分を決めるとどうなるか」を見るためのもので、この量を推奨しているわけではありません。

配分の一例は、糖質5%・たんぱく質20%・脂質75%

ただしケト食の脂質比には幅があり(おおむね60〜80%エネルギー)、75%が決まりというわけではありません。

ここでは計算がしやすいので5:20:75を使います。これで組むと、脂質の量はこうなります。

表3 糖質5%・たんぱく質20%・脂質75%で組んだ場合に必要な量(この記事の計算例)
1日の摂取エネルギー糖質たんぱく質脂質脂質を油に換算すると
1,500 kcal18.8 g75 g125 g大さじ約10.4杯ぶん
1,800 kcal22.5 g90 g150 g大さじ約12.5杯ぶん
2,000 kcal25.0 g100 g167 g大さじ約13.9杯ぶん
2,200 kcal27.5 g110 g183 g大さじ約15.3杯ぶん

※エネルギー換算はたんぱく質4kcal/g・脂質9kcal/g・炭水化物4kcal/gとして計算。油の換算は植物油 大さじ1=12gとしています。実際には脂質を油だけで摂るわけではありません(肉・魚・チーズ・ナッツ・アボカドにも含まれます)。量の大きさを掴むための換算です。

1,800kcalを 糖質5% / たんぱく質20% / 脂質75% で組んだ一例糖質5%22.5gたんぱく質20%90g脂質75%150g脂質150gは、油に換算すると大さじ12.5杯ぶん糖質を「抜く」より、脂質を「毎日たす」ほうが手間になります。※これは一例です。ケト食の脂質比には幅があり(おおむね60〜80%E)、75%が決まりではありません。
図1 1,800kcalをケトの配分で組んだ一例(この記事の計算)

ここが実行の難所です

糖質を減らすのは引き算ですが、脂質は「毎日たす」作業になります。

実際に献立を組んでみて分かったことですが、糖質20g以内に収めること自体はそれほど難しくありません(次章で実例を出します)。手間がかかるのは、その状態で1,470kcalぶんのエネルギーを脂質から埋めていく側です。

ただし、これは私が献立を組んでみて見えた実務上の難所の一つであって、「脂質の量が原因で人はケトをやめる」ことを示した研究があるわけではありません。そこは分けて読んでください。

脂質をどこから足すか

オリーブ油・バター・アボカド・チーズ・ナッツ・MCTオイルが主な選択肢です。

オリーブ油は大さじ1(12g)で107kcal・脂質12.0g、有塩バターは大さじ1で84kcal・脂質9.7g、アボカド1個(可食部140g)で246kcal・脂質24.5gです。バターやMCTオイルを使う方法については、バターコーヒーダイエットは痩せる?太る原因と効果、1杯のカロリーを検証MCTオイルで痩せない理由|下痢・量・飲み方を検証で、量と副作用を含めて書いています。MCTオイルは量を急に増やすと下痢や腹痛が出ます

ケトでも、摂取エネルギーは無関係ではありません

「ケトならカロリーを気にしなくていい」という説明は、代謝病棟で行われた試験と噛み合いません。

Hallらの試験(Am J Clin Nutr 2016)は、過体重・肥満の男性17名を代謝病棟に入院させて、高糖質食4週間のあとエネルギー量を揃えたケト食を4週間行ったものです。結果は後の章で詳しく書きますが、カロリーを揃えたら体脂肪の減りは増えませんでした。

ケトジェニックは「食べても太らない食べ方」ではありません。糖質を減らした結果として食事量が減れば体重は落ちますが、それはエネルギーの話です。カロリー制限では痩せない理由で書いた話とあわせて読むと、位置づけがはっきりします。

ケトーシスに入ったか確認する方法

尿のケトン試験紙、血中ケトン測定器、呼気の測定という3つの手段があります。

尿の試験紙は薬局で買えて安価ですが、測っているのは尿に出てきた分なので、体内の状態とはずれます。血中ケトン(β-ヒドロキシ酪酸)の測定器は指先の血液で測るもので、より直接的です。呼気のアセトンを測る機器もあります。

この記事では「いくつを目指すべきか」は書きません。数値が高いほど痩せるという関係が示されているわけではないからです。測るなら、目標値を追うためではなく「自分が今どのあたりにいるか」を知るために使ってください。測って行動を変える、という考え方については血糖値を測るダイエットは効果ある?CGM・血糖測定器で分かることと2週間の検証法で同じ整理をしています。

水分と塩分は動きます

糖質を大きく減らすと、体内の水分とともにナトリウムなどの電解質も動きます。

開始初期に体重が急に落ちるのはこのためです。ただし「何gの塩を足すべきか」という具体的な量は、この記事では書きません。信頼できる根拠を確認できていないためです。ふらつき・強い脱力がある場合は、量を調整する前に中止して医療機関に相談してください。

ケトジェニックの食事|1日ぶんを実際に組むとこうなる

糖質20g以内は、組めます。実際に組んだら糖質11.1g・1,470kcalになりました。

成分表の値だけを使って、1日ぶんを実際に積み上げてみます。「こういう献立にしなさい」という提案ではなく、数字がどう積み上がるかを見せるための例です。

表4 糖質20g以内を狙って1日ぶんを組んだ例(日本食品標準成分表〈八訂〉増補2023年から算出)
品目糖質エネルギーたんぱく質脂質
鶏卵 2個(可食部100g)0.4 g142 kcal12.2 g10.2 g
木綿豆腐 1/2丁(150g)0.6 g110 kcal10.5 g7.3 g
まさば 1切れ(80g)0.2 g169 kcal16.5 g13.4 g
鶏むね 皮なし(100g)0.1 g105 kcal23.3 g1.9 g
ブロッコリー(80g)1.2 g30 kcal4.3 g0.5 g
ほうれんそう(100g)0.3 g18 kcal2.2 g0.4 g
アボカド 1/2個(70g)1.6 g123 kcal1.5 g12.2 g
プロセスチーズ 2個(36g)0.5 g113 kcal8.2 g9.4 g
アーモンド いり 20粒(25g)2.4 g152 kcal5.1 g13.5 g
オリーブ油 大さじ3(36g)0.0 g322 kcal0.0 g36.0 g
こいくちしょうゆ 大さじ2(36g)2.8 g27 kcal2.8 g0.0 g
マヨネーズ 全卵型 大さじ2(24g)0.9 g160 kcal0.3 g18.2 g
合計11.1 g1,470 kcal86.8 g123.1 g

※糖質=炭水化物−食物繊維総量として算出。PFC比は たんぱく質24% / 脂質75% / 糖質3% です。合計欄は丸める前の値から計算しているため、各行を足した数字とわずかに異なります。この献立を推奨しているわけではありません(食塩相当量や微量栄養素は評価していません)。

組めば組めます。ただし、この例では12品になりました

糖質は11.1gまで落ちました。20gどころか、その半分近くです。

つまり「ケトジェニックの糖質量は、食材を選べば達成できる」ということです。ここは難しくありません。難しさが出るとすれば、この12品を用意する側と、脂質123.1gを毎日積む側です。

もちろん12品にする必要はありません。これはあくまで、この例ではそうなったというだけです。

枠を使わない食品と、枠を使いやすい食品

肉・魚・卵・豆腐・葉物・油はほぼ枠を使いません。主食・果物・いも・甘い調味料は使います。

表5 糖質の枠を「使わない食品」と「使いやすい食品」(成分表から算出)
枠をほとんど使わない目安と糖質枠を使いやすい目安と糖質
鶏卵1個 50g/0.2 gごはん茶碗1杯/53.4 g
鶏むね 皮なし100g/0.1 gパン・麺1食/25〜61 g
まさば1切れ 80g/0.2 gさつまいも100g/30.3 g
木綿豆腐1/2丁 150g/0.6 gバナナ1本 90g/19.3 g
糸引き納豆1パック 40g/1.0 gかぼちゃ80g/13.7 g
ブロッコリー80g/1.2 g牛乳200g/9.6 g
ほうれんそう100g/0.3 g本みりん大さじ1/7.8 g
アボカド1個 140g/3.2 g焼き肉のたれ大さじ1/5.7 g
プロセスチーズ6P 1個 18g/0.2 gトマトケチャップ大さじ1/3.9 g
オリーブ油・バター大さじ1/0.0 gカレールウ1皿分 20g/7.7 g

※右列は「食べてはいけない食品」ではありません。1日の枠を早く使う食品という意味です。糖質=炭水化物−食物繊維総量として、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年から算出しています。

落とし穴は調味料です

本みりん大さじ1で7.8g、焼き肉のたれ大さじ1で5.7g。肉を食べているつもりで、たれで枠を使っています。

表6 調味料 大さじ1あたりの糖質(日本食品標準成分表〈八訂〉増補2023年から算出)
調味料(食品番号)大さじ1糖質1日50gの枠に対して
本みりん(16025)18 g7.8 g16%
カレールウ(17051)20 g(1皿分)7.7 g15%
お好み焼きソース(17085)18 g5.9 g12%
焼き肉のたれ(17113)18 g5.7 g11%
中濃ソース(17002)18 g5.4 g11%
ウスターソース(17001)18 g4.8 g10%
トマトケチャップ(17036)15 g3.9 g8%
めんつゆ 三倍濃縮(17030)18 g3.6 g7%
和風ドレッシング ノンオイル(17039)15 g2.4 g5%
ごまドレッシング(17117)15 g2.1 g4%
ぽん酢しょうゆ 市販品(17137)18 g1.9 g4%
こいくちしょうゆ(17007)18 g1.4 g3%
マヨネーズ 全卵型(17042)12 g0.4 g1%

※大さじ1の重量は、しょうゆ・ソース・みりん・たれ・めんつゆを18g、ケチャップ・ドレッシングを15g、マヨネーズを12g、カレールウを1皿分20gとして計算しています。市販品は製品ごとに数値が異なりますので、使うものの栄養成分表示を確認してください。

いちばん糖質が低いのはマヨネーズ(大さじ1で0.4g)です。ケトジェニックでマヨネーズがよく出てくるのは、脂質を足せて、なおかつ枠をほとんど使わないという2つの条件を同時に満たすからです。逆に「ノンオイル」と書かれた和風ドレッシングのほうが糖質は多くなります(2.4g)。油を抜いた分、糖分で味を作っているためです。

外食で何を選ぶか

定食は主食を減らす、麺類は麺だけで枠を超える、丼ものは枠が飛ぶ、と考えてください。

具体的には、こう見ます。

  • 定食:ごはんを抜くか半分にする。主菜(焼き魚・生姜焼き・唐揚げの衣以外)はほぼ枠を使わない。ただし煮物・照り焼き・南蛮漬けは、みりんと砂糖で枠を使う
  • 麺類:麺だけで46〜61g。1杯で枠を超える
  • 丼もの:ごはんの量が茶碗1杯より多いことが普通なので、53.4gを上回る
  • 焼き鳥:たれより塩。たれ1本ぶんでも枠を数%ずつ使う
  • 居酒屋:刺身・冷奴・枝豆・焼き魚・卵料理は枠を使いにくい。フライドポテト・シメの麺・甘いカクテルは使う

主食を「別のもの」に置き換える方法もあります。糖質ゼロ麺については糖質ゼロ麺は危険?カラギナンと添加物を論文で検証で成分を検証しています。

ケトジェニックとコンビニ|買っていいもの・枠が飛ぶもの

結論から言うと、おにぎり1個で1日の枠の86%が消えます。そこを避ければ、コンビニでも組めます。

各社の公式サイトに載っている栄養成分表示から、枠をほとんど使わない定番を並べます。比較のため、おにぎりを同じ表に入れました。

表7 コンビニで買えるものの糖質(各社公式サイトの栄養成分表示・2026年8月27日確認)
商品表示の単位糖質エネルギーたんぱく質枠に対して
糖質0gのサラダチキン(ハーブ)110g/セブンプレミアム100gあたり0 g108 kcal23.6 g0%
6Pチーズ/ローソン1個(標準17g)0.4 g56 kcal2.8 g1%
NL たんぱく質が摂れるブランパン 2個入/ローソン1個あたり2.0 g66 kcal6.1 g4%
素焼きアーモンド 35g/ローソン1袋(35g)3.2 g220 kcal7.5 g6%
(比較)おにぎり/日本食品標準成分表 01111110 g42.9 g187 kcal3.0 g86%

※セブンプレミアムのサラダチキンには公式に「食品表示基準に基づき、100g当たり0.5g未満を0としています」という注記があります。
※栄養成分は各社公式サイトで2026年8月27日に確認した値です。商品内容・容量・栄養成分は変更されることがあります。購入時はパッケージの最新表示をご確認ください。本記事は各メーカーから広告料・商品提供を受けて作成したものではありません。

「糖質オフ」表示の読み方は3つあります

①何あたりの数値か、②「炭水化物」と「糖質」のどちらが書かれているか、③「0g」は本当にゼロか。

①何あたりの数値か。表7のサラダチキンは100gあたりの表示で、内容量は110gです。1袋ぶんを知りたいなら1.1倍します。「1包装あたり」と「100gあたり」が混ざっているので、数字だけ見て比べると間違えます。

②「炭水化物」と「糖質」のどちらか。ここがいちばん間違えやすいところです。ブランパンは炭水化物6.1g、糖質2.0g、食物繊維4.1g。炭水化物の数字だけ見ると3倍見誤ります。ふすま(ブラン)を使ったパンや大豆製品は食物繊維が多いので、この差が大きく出ます。

③「0g」は本当にゼロか。表7のサラダチキンには、公式サイトに「食品表示基準に基づき、100g当たり0.5g未満を0としています」という注記があります。0.5g未満は0と表示してよいというルールがあるためです。これはこの商品の公式注記なので、すべての「糖質0g」商品について同じことが書いてあるわけではありませんが、「0g=完全にゼロ」ではない場合があることは知っておいてください。

「炭水化物」しか書いていないときの引き算

炭水化物 − 食物繊維 = 糖質です。

栄養成分表示で「糖質」は任意表示です。書かれていない商品では、炭水化物と食物繊維の2つが載っていれば引き算で出せます。食物繊維も書かれていない場合は、炭水化物の数字をそのまま糖質として扱うと、多めに見積もることになるので安全側に倒れます。

飲み物

無糖の茶・コーヒー・水は枠を使いません。牛乳と加糖飲料は使います。

牛乳はコップ1杯(200g)で9.6gです。ブラックコーヒーに牛乳を足す習慣がある方は、ここが積み上がります。カフェオレを1日2杯飲めば、それだけで20gの枠が終わります。

コンビニだけでも糖質の枠は守れます。難しいのは別のところです

糖質の枠だけならコンビニでも組めます。一方、十分なエネルギーを高脂質で組もうとすると、選択肢は狭くなります。

表7の4品を全部買っても、エネルギーは合わせて約527kcalです(サラダチキン1袋119kcal+6Pチーズ1個56kcal+ブランパン2個132kcal+アーモンド1袋220kcal)。1日1,800kcalを目指すなら、これを3回以上繰り返すことになります。糖質は守れても、脂質とエネルギーを埋めるためには結局、油・チーズ・ナッツ・アボカドといった高脂質食品を意識して足す必要が出てきます。

Q. コンビニだけでケトジェニックはできますか。

A. 糖質の枠を守るだけならできます。サラダチキン・ゆで卵・チーズ・素焼きナッツ・ブランパンで、1日20〜50gには収まります。ただし十分なエネルギーを高脂質で組もうとすると選択肢が狭くなり、割高にもなります。ナッツやチーズを足す形が現実的です。

ケトジェニックは本当に痩せるのか|実測値を並べる

ここが、この記事でいちばん面白いところです。同じ約0.9kgという差が、一方では「有意に優れる」、一方では「ほとんど差がない」と評価されています。

糖質50g以下に絞ったメタ解析では、低脂肪食より0.91kg多く減りました

13件のランダム化比較試験・1,415人ぶんの解析です。

Buenoらのメタ解析(Br J Nutr 2013)は、糖質1日50g以下の超低糖質ケトジェニック食と、脂質30%エネルギー未満のエネルギー制限食(低脂肪食)を比べた、追跡12か月以上のRCT 13件をまとめたものです。

体重の差は加重平均差 −0.91kg(95%信頼区間 −1.65〜−0.17kg/1,415人)。ケト側が有意に多く減っています。中性脂肪は −0.18mmol/L、拡張期血圧は −1.43mmHg、HDLコレステロールは +0.09mmol/L。そしてLDLコレステロールは +0.12mmol/L(0.04〜0.20)上がっていました。収縮期血圧・空腹時血糖・インスリン・HbA1c・CRPには有意差はありませんでした。

61試験6,925人のコクランレビューでは「ほとんど差がない」

1〜2年の差は −0.93kg。数字はほぼ同じなのに、評価が違います。

Naudeらのコクランレビュー(Cochrane Database Syst Rev 2022)は、低糖質の減量食とバランス型(糖質45〜65%エネルギー)の減量食を比べたRCT 61件・6,925人をまとめています。2型糖尿病のない人では、3〜8.5か月で −1.07kg、1〜2年で −0.93kg(95%CI −1.81〜−0.04kg)。2型糖尿病のある人では1〜2年で −0.33kg(−2.13〜1.46)で、こちらは有意差がありません。

ここで大事なのは、このレビューが対象にしているのは「低糖質食全般」であって、ケトジェニックに限定していないという点です。61試験のうち非常に低糖質(1日50g以下または10%エネルギー未満)は14試験で、最も多いのは1日50〜150g程度の低糖質食42試験です。だからBuenoのメタ解析とは、そもそも対象が違います。

「差がゼロ」なのではありません

平均1kg弱の差はある。ただし、食事法を決めるほど大きな優位性とは評価されていない、ということです。

矛盾しているように見えるのは、統計学的な有意差と、実用上の意味のある差が別物だからです。1,415人や1,805人という規模で調べれば、0.9kgという差でも「偶然ではない」と判定できます。しかしコクランのレビュー著者は、その0.93kgという大きさを見て「little to no difference(ほとんど差がない)」と評価しました。

臨床検査の現場でも同じことが起こります。基準値からわずかに外れた検査値が、統計的には「異常」でも、臨床的には何も意味しないことがあります。数字が動いたかどうかと、その動きに意味があるかどうかは、別々に判断するものです。

「痩せる差」の実寸(比較対象より多く減った体重)01kg2kg−0.91kgBueno 2013糖質≦50g−0.93kgコクラン 2022低糖質食全般−0.7kg(有意差なし)DIETFITS 2018糖質30%E※糖質の条件が試験ごとに違います。コクランはケトに限定していません。
図2 3つの研究が示した体重差(同じ目盛りに並べたもの)

609人・12か月のRCTでも差は出ませんでした

−5.3kg vs −6.0kg、群間差0.7kg。統計的に有意な差ではありません。

DIETFITS試験(Gardner, JAMA 2018)は、BMI28〜40の成人609名を健康的低脂肪食(305名)と健康的低糖質食(304名)に無作為に割り付け、12か月追跡したものです。481名(79%)が完遂しました。

体重変化は−5.3kg vs −6.0kg、群間差 0.7kg(95%CI −0.2〜1.6kg)で有意差なし。ただし注意点があります。12か月時点の低糖質群の実際の糖質摂取は30%エネルギーでした。これはケトジェニックではありません。低糖質食全般の比較例としては使えますが、ケトの試験として読むことはできません。

「自分に合う方」は、この研究では見分けられませんでした

遺伝子型との交互作用 P=0.20、インスリン分泌との交互作用 P=0.47。

DIETFITSでは、3つの一塩基多型からなる遺伝子型パターン(低脂肪型/低糖質型)と、糖負荷30分後のインスリン濃度(INS-30)が、どちらの食事法で痩せやすいかを予測するかを検証しました。どちらも予測できませんでした。

ただし、これはこの研究で検討した遺伝子型とインスリン分泌では予測できなかったという結果です。あらゆる個人差の予測が不可能だと示したわけではありません。

表8 「痩せるか」を調べた研究の一覧(糖質の条件が違う点に注意)
研究人数・期間糖質の条件比較対象体重の差(95%CI)
Bueno 2013
メタ解析13試験
1,415人
12か月以上
1日50g以下
(=ケト)
低脂肪食
(脂質30%E未満)
−0.91 kg
(−1.65〜−0.17)
コクラン 2022
レビュー61試験
6,925人
1〜2年
低糖質食全般
(50〜150gが最多)
バランス型
(糖質45〜65%E)
−0.93 kg
(−1.81〜−0.04)
著者評価「ほとんど差がない」
コクラン 2022
(2型糖尿病あり)
813人
1〜2年
低糖質食全般バランス型−0.33 kg
(−2.13〜1.46)
有意差なし
DIETFITS 2018
RCT
609人
12か月
実測30%E
ケトではない
健康的低脂肪食
(実測48%E)
0.7 kg
(−0.2〜1.6)
有意差なし

1年で1kg弱を「勝ち」と呼ぶかどうかは、読む人が決めていいことです。ただし「他とはまったく違う特別な方法」ではないことは、この3つの研究が揃って示しています。

「ケトーシスに入った=痩せている」ではありません

代謝病棟でカロリーを揃えた試験では、呼吸商は下がったのに、体脂肪の減りはむしろ鈍りました。

Hallらの試験(Am J Clin Nutr 2016/NCT01967563)は、過体重・肥満の男性17名を代謝病棟に入院させ、高糖質食を4週間、そのあとたんぱく質の量を固定した等カロリーのケト食を4週間行ったものです。週2日は代謝チャンバーに滞在してエネルギー消費を実測し、体組成はDXAで測定しました。

結果、ケト食の期間に呼吸商は −0.111±0.003(P<0.0001) 下がりました。呼吸商が下がるのは、体が糖質より脂質を多く燃やしていることを示します。ところが体脂肪の減少はこの期間に鈍り、たんぱく質の利用が増えて除脂肪量が減りました。

呼吸商が下がった=体脂肪が燃えた、ではありません

ここがこの記事でいちばん大事な区別です。

呼吸商が下がるのは「脂質の酸化が増えた」という意味です。しかしその脂質は、体についている脂肪だけとは限りません。その日に食べた脂質も含まれます。ケトジェニックはそもそも脂質を大量に摂る食べ方なので、入ってきた脂質を燃やしているだけでも呼吸商は下がります。

「脂肪が燃えている実感がある」「試験紙が濃く出た」は、体脂肪が減っている証拠にはなりません。この区別は脂肪燃焼とは?仕組みと運動の条件|燃えると痩せるは別の話で詳しく書いています。

消費エネルギーは増えましたが、小さい増加でした

測定方法ごとに分けると、こうなります。

  • 代謝チャンバー内:+57±13 kcal/日(P=0.0004)
  • 睡眠時:+89±14 kcal/日(P<0.0001)
  • 二重標識水法(1日全体):+151±63 kcal/日(P=0.03)

この3つは測定している対象も方法も違うので、そのまま並べて比べる数字ではありません。著者自身は、これらの増加を「最先端の技術でようやく検出できる程度の小ささ」と表現しています。

そして重要なのは、この程度の消費エネルギーの増加があっても、体脂肪の減少は増えなかったということです。著者の結論は「等カロリーのケト食は体脂肪減少の増加を伴わなかった」でした。

ケトーシスと体脂肪の関係(Hall 2016・代謝病棟・n=17)×ケトーシスに入る脂肪が燃える体脂肪が減る呼吸商は下がった(−0.111)=脂質の酸化が増えたただし、その脂質には食事から摂った脂質も含まれる体脂肪の減りはむしろ鈍り、除脂肪量が減った消費エネルギーの増加は「検出限界に近い程度」と著者が記述※エネルギー量とたんぱく質量を揃えた条件での結果です。
図3 「燃えている」ことと「体脂肪が減る」ことは別

最初の数日で落ちる体重は、水とグリコーゲンです

開始2〜3日で1〜2kg落ちるのは珍しくありません。ただしその中身は体脂肪ではありません。

グリコーゲンは水を伴った形で貯蔵されているので、糖質を減らすとグリコーゲンと一緒に水が抜けます。この仕組みと、体組成計の数字がどう動くかについては体重が減ったのに体脂肪率が増える理由|水分の抜けと体組成計の誤差の切り分け7号食とは?3日でやめた人が知りたい体重の正体で書いています。

Q. 何日で体重が落ち始めますか。

A. 数日で落ち始めますが、最初に落ちるのは水とグリコーゲンです。ここを体脂肪の減少と読み替えると、その後「止まった」と感じて挫折しやすくなります。判断は1週間の平均で見てください。

続けにくいのはどこか

1年後の完遂率を4つの食事法で比べた研究では、4群すべてが50〜65%にとどまりました。

「糖質制限だけが続かない」という結果ではありません

Atkins 53%、Zone 65%、Weight Watchers 65%、Ornish 50%です。

Dansingerらの試験(JAMA 2005)は、高血圧・脂質異常・空腹時高血糖のいずれかを持つ過体重/肥満の成人160名を、Atkins(糖質制限)/Zone/Weight Watchers/Ornish(脂質制限)に各40名ずつ無作為に割り付け、1年追跡したものです。

1年の完遂率はAtkins 21/40(53%)、Zone 26/40(65%)、Weight Watchers 26/40(65%)、Ornish 20/40(50%)いちばん低かったのは脂質制限のOrnish群です。糖質制限だけが特別に続かない、という結果にはなっていません。

減量幅と相関したのは、食事法の種類ではなく遵守度でした

遵守度との相関 r=0.60(P<0.001)、食事法の種類との相関 r=0.07(P=0.40)。

脱落者をベースライン維持と仮定した1年の減量は、Atkins −2.1kg、Zone −3.2kg、Weight Watchers −3.0kg、Ornish −3.3kg。どれも大差ありません。そして減量幅と強く相関したのは自己申告の遵守度でした。

つまり「どれを選ぶか」より「続いたか」で決まっているということです。ただし、この結果は「なぜ遵守できなかったか」までは示していません。そこは研究が答えていない部分です。

献立を組んでみて見えた難所

研究が答えていない部分について、この記事で計算した範囲から言えることを書きます。

表9 続けにくさの分解(裏づけの有無を分けて書いています)
難所裏づけ先に打てる手
脂質を毎日たす作業研究の裏づけなし
この記事の計算からの観察
油・チーズ・ナッツ・アボカドを常備し、1食あたりの「足す量」を先に決める
1食で枠を超えやすい成分表からの計算
(おにぎり1個で枠の86%)
外食・コンビニで選べるものを事前に決めておく(表7)
開始1週間の不調Bostock 2020
(フォーラム投稿の分析)
開始日を、予定の詰まった週に重ねない
調味料で気づかず枠を使う成分表からの計算
(表6)
みりん・たれ・ソースを、しょうゆ・塩・マヨネーズに寄せる

開始1週間の不調について報告されていること

頭痛・疲労・吐き気・めまいなどが報告されています。ただし出典は臨床試験ではありません。

Bostockらの研究(Front Nutr 2020)は、「keto flu」などをURLに含むオンラインフォーラム43件から、448件の投稿(300人)を集めて内容を分析したものです。101人が自身の症状を報告し、256件の記述から54種類の症状が抽出されました。

多かった順に、インフルエンザ様症状 44.6%、頭痛 24.8%、疲労 17.8%、吐き気 15.8%、めまい 14.9%。症状が現れた時期は開始から1日〜5か月(中央値9.5日)で、ピークは最初の1週間とされています。

ここは正確に読んでください。これはオンライン投稿を集めて分類した研究であって、臨床試験ではありません。症状を訴えた人が投稿する傾向がある以上、この割合を「ケトジェニックを始めた人の何%に起こる」とは読めません。「そういう訴えが実在する」というところまでです。

糖質を減らしたときの初期症状については、糖質制限の初期症状はなぜ?経験した感想と対策!論文引用で対策とあわせて詳しく書いています。症状が強い、長く続く、嘔吐を伴う場合は、続けずに医療機関に相談してください。

Q. 頭痛やだるさが出たらどうすればいいですか。

A. まず水分をしっかり摂り、無理をしないことです。それでも改善しない、症状が強い、嘔吐を伴う、意識がはっきりしないといった場合は、続けずに医療機関へ。この記事では電解質の補給量を書きません。信頼できる根拠を確認できていないためです。

やめる日ではなく「再評価日」を決めておく

始める前に、いつ・何を見て判断するかを決めておいてください。

「1か月で終わり」と期限を切るのは分かりやすいのですが、期限を決めれば安全になるわけでも、続けやすくなるわけでもありません。それより、判断する日を決めておくほうが実用的です。

  • 体重:1週間の平均で見る(1日ごとの増減は水分)
  • 体調:睡眠・集中力・便通・運動時のきつさ
  • 続けられそうか:食事の用意にかかる時間と費用
  • 必要なら検査値:とくにLDLコレステロール(次章)

この4つを見て、続ける/緩める/やめるを決めます。やめる場合も、糖質を一気に戻すのではなく段階的に戻すほうが、体重の急な戻りに驚かずに済みます(戻る分の多くはグリコーゲンと水です)。

Q. ケトジェニックをやめたらリバウンドしますか。

A. 糖質を戻せばグリコーゲンと水の分は必ず戻ります。これはリバウンドというより、抜けていた水が戻る現象です。問題はその先で、食事の総量が元に戻れば体重も戻ります。やめ方(何をどこまで戻すか)を、始める前に決めておいてください。「リバウンドしない食事法」というものはありません。

自己判断で始めない方がいい人

該当する方は、始める前に必ず主治医に相談してください。

糖尿病の治療を受けている方、とくにSGLT2阻害薬を使用中の方

非常に低糖質な食事は、SGLT2阻害薬に関連するケトアシドーシスのリスク因子として挙げられています。

SGLT2阻害薬を使用中に極端な糖質制限を行うと、血糖値がそれほど高くないままケトアシドーシスを起こすこと(正常血糖ケトアシドーシス)が知られています。医学の参考書であるStatPearlsの「Euglycemic Diabetic Ketoacidosis」の項では、ケトン食を含む糖質が枯渇した状態と、SGLT2阻害薬(カナグリフロジン・ダパグリフロジン・エンパグリフロジン・エルツグリフロジン)が、いずれもこの病態を起こしうる原因として挙げられています。この記事では薬の調整方法は書きません。自己判断で開始せず、主治医に相談してください。

インスリンやスルホニル尿素薬を使っている方も、糖質を大きく減らすと低血糖のリスクが変わります。同じく主治医の管理下で行うべきものです。

そのほか、相談してから始めてほしい方

  • 妊娠中・授乳中の方:この時期に極端な食事制限を行う根拠がありません
  • 腎臓・肝臓に持病のある方:たんぱく質と脂質の摂取量が大きく変わります
  • 脂質異常症で治療中の方:後述のとおりLDLコレステロールが上がる可能性があります
  • 薬を飲んでいる方:食事内容の変化が薬の効き方に影響することがあります
  • 過去に摂食障害のある方:食品を厳格に制限する食事法は、症状の再燃につながることがあります
  • 成長期のお子さん

始める前に、基準を1回取っておく

臨床検査技師としていちばん勧めたいのはこれです。

始める前の体重・腹囲・血液検査の値を1回記録しておくと、あとで「何が動いたか」を判断できます。比べる相手がなければ、動いたかどうかは分かりません。健診の結果が手元にあるなら、それで十分です。どの数値がいつ動くかはダイエットで血液検査の数値はいつ動く?血糖1週間・HbA1c3か月・LDL上昇の理由にまとめています。

Q. 持病があってもやっていいですか。

A. この記事で判断できることではありません。とくに糖尿病の治療中(SGLT2阻害薬・インスリン・スルホニル尿素薬)、腎疾患、肝疾患、脂質異常症、妊娠中・授乳中の方は、始める前に主治医に相談してください。

長期のことは、まだ別問題|LDLの試験と、低糖質食の観察研究

先に断っておきます。ここからの死亡率のデータは、ケトジェニックそのものを長期間ランダム化した研究ではありません。低糖質の傾向と死亡率の「関連」を見た観察研究であり、ケトをすると死亡率が上がるという意味ではありません。

試験で分かっていること:LDLコレステロールは上がっています

+0.12mmol/L(95%CI 0.04〜0.20/1,255人)。有意な上昇です。

先ほどのBuenoのメタ解析(RCT 13件)で、体重の差と同じ表に載っている数字です。ケト側でLDLコレステロールが有意に上昇し、同時にHDLコレステロールは +0.09mmol/L、中性脂肪は −0.18mmol/L、拡張期血圧は −1.43mmHg。良い方向の変化と悪い方向の変化が同時に起きています。

これはランダム化比較試験をまとめた結果なので、観察研究より因果に近い部分です。バターなど飽和脂肪酸の多い食品とLDLの関係はグラスフェッドバターは体に悪い?普通のバターとの違いとLDLへの影響で扱っています。

観察研究で見えていること:糖質エネルギー比と総死亡はU字

50〜55%エネルギーでいちばん低く、そこから多くても少なくても上がります。

Seidelmannらの研究(Lancet Public Health 2018)は、米国ARIC研究の45〜64歳15,428人を中央値25年追跡し(6,283人が死亡)、さらに7件の多国籍前向き研究と統合して432,179人・40,181死亡を解析したものです。

統合解析では、低糖質(40%エネルギー未満)で ハザード比 1.20(95%CI 1.09〜1.32)、高糖質(70%超)で 1.23(1.11〜1.36)。U字型でした。

ただしこの「低糖質」は40%エネルギー未満であって、ケトジェニックの5〜10%エネルギーとは大きく違います。ケトを25年続けた人の死亡率を見た研究ではありません。

置き換える中身で、向きが変わります

動物性に置き換えると 1.18、植物性に置き換えると 0.82。逆方向です。

同じ研究の置換解析で、糖質を動物性の脂質・たんぱく質(羊肉・牛肉・豚肉・鶏肉など)に置き換えた場合は ハザード比 1.18(1.08〜1.29)、植物性(野菜・ナッツ・ピーナッツバター・全粒粉パンなど)に置き換えた場合は 0.82(0.78〜0.87)でした。

ここから言えるのは、「少なくとも、低糖質を動物性食品中心に組むことが有利だとは言えない」というところまでです。観察研究なので「植物性にすれば長生きする」とは言えません。それでも、脂質の出どころを選べる立場にあるなら、オリーブ油・ナッツ・アボカドの側に寄せておくことに不利はありません。

日本の研究者によるメタ解析も同じ向きです

低糖質スコアが高い群の総死亡は プールRR 1.31(95%CI 1.07〜1.59)。

Notoら(国立国際医療研究センター)の解析(PLoS One 2013)は、低糖質スコアを用いた4コホート272,216人(15,981人が死亡)をまとめたものです。総死亡は有意に上昇していましたが、心血管死(RR 1.10、0.98〜1.24)と心血管疾患の発症(RR 0.98、0.78〜1.24)は有意ではありませんでした。

著者自身が「限られた観察研究に基づくもので、大規模な試験が必要」と結論に書いています。

表10 試験で分かることと、観察研究で分かることを分ける
研究デザイン研究分かること結果
RCTのメタ解析
因果に近い
Bueno 2013
(糖質≦50g・1,255人)
脂質・血圧がどう動くかLDL +0.12 mmol/L
HDL +0.09/TG −0.18
拡張期血圧 −1.43 mmHg
観察研究
因果は言えない
Seidelmann 2018
(432,179人・統合)
糖質%Eと総死亡の関連50〜55%Eが最低
<40%E で HR 1.20
>70%E で HR 1.23
観察研究
因果は言えない
Seidelmann 2018
(置換解析)
何に置き換えたかの違い動物性 HR 1.18
植物性 HR 0.82
観察研究
因果は言えない
Noto 2013
(272,216人)
低糖質スコアと死亡総死亡 RR 1.31
心血管死 1.10(有意でない)
心血管発症 0.98(有意でない)

公的な目安との距離

日本人の食事摂取基準(2025年版)の炭水化物の目標量は50〜65%エネルギーです。

この値は1歳以上のすべての年齢区分で、男女とも同じです(同じ表で、たんぱく質は18〜49歳で13〜20%、50〜64歳で14〜20%、65歳以上で15〜20%、脂質は20〜30%、飽和脂肪酸は18歳以上で7%以下)。

ケトジェニックの糖質5%前後は、この範囲のかなり外側にあります。これは「だから危険」という意味ではなく、自分がどこに立っているかを知るための物差しとして使ってください。目標量は生活習慣病の発症予防を目的に設定された範囲で、短期間そこを外れることを禁じるものではありません。

試験で分かることと、観察研究で分かることを分けて読む

ここまでの話を整理すると、こうなります。

ランダム化比較試験で分かっているのは、LDLコレステロールが上がるということ。これは介入した結果として観察された変化なので、因果に近い情報です。一方、死亡率については、ケトジェニックを長期間ランダム化した試験がありません。だから観察研究しかなく、そこには「低糖質の人はほかの生活習慣も違う」という交絡が必ず残ります。

この2つを混ぜて「ケトは危険」と言うのも、「観察研究だから無視していい」と言うのも、どちらも読み方として乱暴です。いま確かなのはLDLが上がること。長期のことはまだ分かっていない。それが2026年時点の正確な位置です。

まとめ

ケトジェニックは、糖質をおおむね1日20〜50g程度まで減らして栄養性ケトーシスを狙う食事法です。糖質50g以下に絞ったメタ解析では低脂肪食より12か月以上で平均0.91kg多く減っていましたが、低糖質食全般をまとめたコクランレビューでは1〜2年の差は1kg未満で「ほとんど差がない」と評価されています。やるなら「糖質を抜く」だけでなく、残ったエネルギーを何から摂り、日常生活で続けられるかまで設計する必要があります。

始める前に、この3つを決めてください
糖質の枠:20gか50gか。ごはん茶碗1杯で53.4g、おにぎり1個で42.9g。まず自分の1日を数えてみる
脂質の出どころ:何から足すのか。1,800kcalを75%脂質で組むなら150g必要になる。植物性に寄せられるなら寄せる
再評価日:いつ、何を見て判断するか。体重(1週間平均)・体調・続けられそうか・必要なら検査値

そして最後にもう一度。ケトーシスに入ることと、体脂肪が減ることは別です。試験紙が濃く出ても、呼吸商が下がっても、それは体脂肪が減った証拠にはなりません。判断するなら、1週間平均の体重と、腹囲と、必要なら検査値で判断してください。

よくある質問

Q. 糖質制限とケトジェニックは何が違うのですか。

A. 狙っているものが違います。ふつうの糖質制限は糖質を減らすことが目的ですが、ケトジェニックはケトーシスという状態に入ることを狙います。その結果として、糖質の量が1日20〜50gまで下がります。ゆるい糖質制限(130g前後)やスーパー糖質制限(60g前後)については糖質は一日何グラム?で扱っています。

Q. ケトーシスに入ったかどうかはどう確かめますか。

A. 尿のケトン試験紙、血中ケトン測定器、呼気の測定という手段があります。ただしこの記事では目標とすべき数値は示しません。数値が高いほど痩せるという関係が示されているわけではないからです。詳しくは本文の「ケトーシスに入ったか確認する方法」をご覧ください。

Q. ケトジェニック中にお酒は飲めますか。

A. 蒸留酒(焼酎・ウイスキー)は糖質をほとんど含みませんが、アルコール自体がエネルギーを持ちます(1gあたり約7kcal)。ビール・日本酒・甘いカクテルは糖質も加わります。「糖質ゼロだから飲んでいい」ではなく、エネルギーとして数える、という扱いのほうが管理できます。

Q. 運動は組み合わせたほうがいいですか。

A. 始めた直後に強度を上げることは勧めません。糖質は高強度の運動で主に使われる燃料なので、大きく減らした直後は同じ強度がきつく感じることがあります(この点について、この記事では試験の数値を確認していません)。歩く程度から始めて、体調が安定してから増やしてください。Hall 2016で除脂肪量が減っていることを考えると、筋力トレーニングとたんぱく質の確保はむしろ重要になります。

Q. 「ケトジェニックは筋肉が落ちる」と聞きましたが本当ですか。

A. Hall 2016では、等カロリーのケト食の期間にたんぱく質の利用が増え、除脂肪量が減りました。ただしこれは17名・4週間の1つの試験の結果です。「必ず筋肉が落ちる」と断定できるほどの根拠ではありませんが、たんぱく質を十分に摂ること筋力トレーニングを併用することは、この結果から見て理にかなっています。

Q. 便秘になりました。

A. 主食・いも・果物を一度に抜くと、食物繊維の摂取量が大きく減ります。ブロッコリー・ほうれんそう・きのこ・海藻・アーモンドは糖質の枠をあまり使わずに食物繊維を足せます。表5の左列を参考にしてください。改善しない場合は医療機関に相談してください。

Q. 口が甘いにおいがすると言われました。

A. ケトン体の一つであるアセトンは呼気に出るため、独特のにおいとして感じられることがあります。これ自体はケトーシスに入っていることを示すもので、異常ではありません。ただし強い口渇・多尿・吐き気・腹痛・意識のもうろうを伴う場合は別です。すぐに医療機関を受診してください。

参考文献

  1. Bueno NB, de Melo IS, de Oliveira SL, da Rocha Ataide T. Very-low-carbohydrate ketogenic diet v. low-fat diet for long-term weight loss: a meta-analysis of randomised controlled trials. Br J Nutr. 2013;110(7):1178-1187. PubMed
  2. Naude CE, Brand A, Schoonees A, Nguyen KA, Chaplin M, Volmink J. Low-carbohydrate versus balanced-carbohydrate diets for reducing weight and cardiovascular risk. Cochrane Database Syst Rev. 2022;1(1):CD013334. PubMed
  3. Hall KD, Chen KY, Guo J, et al. Energy expenditure and body composition changes after an isocaloric ketogenic diet in overweight and obese men. Am J Clin Nutr. 2016;104(2):324-333. PubMed
  4. Gardner CD, Trepanowski JF, Del Gobbo LC, et al. Effect of Low-Fat vs Low-Carbohydrate Diet on 12-Month Weight Loss in Overweight Adults and the Association With Genotype Pattern or Insulin Secretion: The DIETFITS Randomized Clinical Trial. JAMA. 2018;319(7):667-679. PubMed
  5. Dansinger ML, Gleason JA, Griffith JL, Selker HP, Schaefer EJ. Comparison of the Atkins, Ornish, Weight Watchers, and Zone diets for weight loss and heart disease risk reduction: a randomized trial. JAMA. 2005;293(1):43-53. PubMed
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  8. Bostock ECS, Kirkby KC, Taylor BV, Hawrelak JA. Consumer Reports of “Keto Flu” Associated With the Ketogenic Diet. Front Nutr. 2020;7:20. Frontiers in Nutrition
  9. Plewa MC, Bryant M, King-Thiele R. Euglycemic Diabetic Ketoacidosis. In: StatPearls. StatPearls Publishing; 2023. NCBI Bookshelf
  10. 厚生労働省.「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(エネルギー産生栄養素バランス). 2024. 厚生労働省
  11. 文部科学省 科学技術・学術審議会 資源調査分科会報告. 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年. 文部科学省

本文の糖質量は、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の可食部100gあたりの値から、記載した目安量で計算したものです(糖質=炭水化物−食物繊維総量)。文部科学省の成分表にある「利用可能炭水化物」とは同義ではありません。コンビニ商品の値は各社公式サイトの栄養成分表示によるもので、2026年8月27日に確認しました。制度・基準・商品仕様は改定されます(2026年8月時点の情報)。この記事は健康な成人が食事法を選ぶ際の判断材料を示すもので、診断・治療に代わるものではありません。持病のある方、薬を飲んでいる方、妊娠中・授乳中の方は、始める前に医師に相談してください。

この記事を書いた人

臨床ブロガー 臨床検査技師/18年・88kg→65kg

検査値を通して人の体を見てきました。論文を確認し、自分の実測とは分けて書いています。医師・管理栄養士ではなく、診断・治療・服薬の判断は行いません。

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