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4つのプランの栄養基準と、実際にいくらかかるのか。継続割の解約条件と、向いていない人の条件まで、公式に出ている数字だけで並べました。

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開脚すると痩せる?体重・太もも・消費カロリーへの効果を論文で検証

開脚のポーズをとる人と木の床。開脚すると痩せるのかを論文で検証した記事のアイキャッチ

開脚ができるようになったら、痩せるのでしょうか。脚は細くなるのでしょうか。

先に結論を書きます。開脚だけを行って体重や体脂肪がどうなるかを調べた試験は、探しても見つかりませんでした。いちばん近いのは、内転筋を含む脚と上半身を伸ばす静的ストレッチの研究です。そこでは柔軟性と動脈の硬さの指標は改善しましたが、体重・BMI・体脂肪率に有意な変化は認められませんでした。

私は臨床検査技師です。患者さんを診る立場ではありませんが、数字がどう出されたものかを疑うのが仕事です。今回いちばん驚いたのは、「開脚 痩せる」で出てくる記事の多くが根拠を1本も置いていないことと、逆に自分の書いた初版もまったく同じだったことでした。

この記事でわかること
・開脚だけを調べた試験は見つからず、近縁のストレッチ研究で何が分かっているのか
・内転筋を含む全身ストレッチを4週間続けた16人の試験で、動いた数字と動かなかった数字
・「太ももだけ細くなる」を否定した試験と、局所の減少を示した試験の両方
・柔軟性と動脈の硬さの関連が、個人の判定には使えない理由
・開脚を続けるときにやらないほうがいいこと3つ

この記事は2021年に私が書いたものを、2026年に全面的に書き直しました。初版は「これといった研究もされておらず、エビデンスはありませんでした」で止めていましたが、これは私の調べ方が足りなかっただけでした。今回は開脚の種目解説は扱いません。具体的なストレッチのやり方は太腿【痩せる】ストレッチとは?にまとめています。

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目次

結論:開脚だけで痩せると示した試験は見つからない

開脚だけを調べた試験は見つかりません。近いのは内転筋を含む静的ストレッチの研究で、体重に有意差は出ていません。

先に注意点を書きます。これから紹介する研究は「開脚だけ」を行った試験ではありません。内転筋を含む脚、上半身、体幹を30分かけて伸ばした全身ストレッチの研究です。そのため、以下の結果をそのまま「開脚だけの効果」と置き換えることはできません。開脚は内転筋などを伸ばす静的ストレッチの一種なので、近い条件の研究として読む、という位置づけになります。

図解1:内転筋を含む全身ストレッチを4週間(16人・週5回・1回30分) 有意な変化が出たもの 長座体前屈 30.6 → 43.9 cm baPWV 1207 → 1145 cm/s CAVI 7.7 → 7.2 柔軟性と、動脈の硬さの指標 baPWVは4.9%の低下 ※体脂肪が減ったという意味ではない 有意な変化が出なかったもの 体重 69.9 → 69.5 kg BMI 23.6 → 23.4 体脂肪率 20.7 → 21.3 % 平均値は動いているが 統計学的な差は認められなかった ※減量を主目的にした試験ではない この研究は「開脚だけ」を行った試験ではありません 伸ばしたのは大腿四頭筋・ハムストリングス・内転筋・腓腹筋・大胸筋・上腕三頭筋・広背筋・頸部・体幹 Nishiwaki M ら, SpringerPlus 2015 より作成

内転筋を含む全身ストレッチを4週間続けた試験で起きたこと

柔軟性と動脈スティフネスの指標は改善しましたが、体重・BMI・体脂肪率に有意な差はありませんでした。

健常な中年男性16人(43±3歳)を対照群と介入群に分け、介入群だけが1回30分の静的ストレッチを週5回、4週間続けた試験があります(Nishiwaki, SpringerPlus 2015)。伸ばしたのは大腿四頭筋・ハムストリングス・内転筋・腓腹筋といった下肢と、大胸筋・上腕三頭筋・広背筋、それに頸部と体幹です。1か所につき20秒を3回、可動域の終わりまで動かします。内転筋が入っている点が、開脚を考えるうえで近い条件になります。

見たもの開始時4週間後判定
長座体前屈30.6 ± 5.3 cm43.9 ± 4.3 cm有意に改善
baPWV(腕と足首の脈波伝播速度)1207 ± 28 cm/s1145 ± 19 cm/s有意に低下(4.9%)
CAVI(心臓足首血管指数)7.7 ± 0.27.2 ± 0.2有意に低下
体重69.9 ± 2.2 kg69.5 ± 2.1 kg有意な差は認められず
BMI23.6 ± 0.923.4 ± 0.8有意な差は認められず
体脂肪率20.7 ± 2.2 %21.3 ± 1.9 %有意な差は認められず
Nishiwaki M ら, SpringerPlus 2015 の介入群(内転筋を含む全身ストレッチ・週5回・1回30分・4週間)より。開脚だけを行った試験ではありません。「有意な差は認められず」は「まったく変わらなかった」という意味ではなく、統計学的に差があるとは言えなかった、という意味です。

体重は69.9kgから69.5kgへ、平均値としては0.4kg動いています。それでも「減った」と書けないのは、この規模と期間ではその差が偶然の範囲を超えていないからです。介入群は実質8人、期間は4週間、しかもこの研究の主目的は減量ではなく動脈の硬さでした。この1本から言えるのは「この試験では体重・BMI・体脂肪率に有意な変化は認められなかった」までで、女性や肥満のある人、もっと長い期間に広げることはできません。

開脚で使うエネルギーはどれくらいか

軽いストレッチは2.3メッツで、60kgの人が10分行うと総消費は約23kcal、追加分は約13kcalです。

身体活動のエネルギー消費をまとめた Compendium of Physical Activities では、mild stretching(軽いストレッチ)が2.3メッツとされています。1メッツをおよそ1kcal/kg/時として計算すると、体重60kgの人が10分行った場合の総消費は 2.3×60×(10÷60)=約23kcal です。ただしこの23kcalには、何もしていなくても使う安静時の分が含まれています。「余分に使った分」だけを見るなら (2.3−1.0)×60×(10÷60)=約13kcal になります。

この2.3メッツは「軽いストレッチ」という区分の値で、開脚そのものを測定した数字ではありません。それでも桁は分かります。ごはん茶碗1杯がおよそ230kcalなので、10分の開脚で使う追加分はその5%程度です。運動でエネルギーを増やすという考え方の限界については、睡眠ダイエットの正体|寝ても消費カロリーは増えない?でも同じ形の話を扱っています。

「太ももだけ細くなる」は言えるのか

特定の部位を動かせばそこの脂肪だけ落ちる、とまでは言えません。ただし絶対に起きないとも言えません。

いわゆる部分痩せです。開脚を直接調べた研究はないので、他の部位で行われた試験を2本並べます。結論が反対方向を向いているので、どちらか片方だけを引くのはフェアではありません。

腹筋運動の試験体幹を使った持久運動の試験
出典Vispute ら, J Strength Cond Res 2011Brobakken ら, Physiological Reports 2023
対象24人(男14・女10、18〜40歳、運動習慣なし)16人(過体重の男性のみ、43±9歳、BMI 29.8)
期間・頻度6週間・週5日10週間・週4日
やったこと腹部7種目を2セット×10回体幹群=走27分+体幹回旋とクランチ4×4分/対照群=走45分
食事等カロリーで統制統制なし
結果体重・体脂肪率・腹囲・皮下脂肪厚のいずれも有意な差なし体幹の脂肪量が体幹群で1,170g(7%)減少。対照群との差は697g(3%)
限界6週間と短い。腹部以外は見ていない16人と小規模。男性のみ。DEXAでは内臓脂肪と皮下脂肪を分けられない
どちらも腹部の試験で、開脚や太ももを直接検証したものではありません。

腹筋だけを6週間続けた試験では、腹の脂肪は減らなかった

24人が週5日6週間続けても、体重・体脂肪率・腹囲のいずれにも有意な差はありませんでした。

運動習慣のない24人を、腹筋群と何もしない群に無作為に割り付けた試験です(Vispute, J Strength Cond Res 2011)。腹筋群は腹部の種目を7つ、2セット×10回ずつ、週5日を6週間続けました。食事は両群とも等カロリーで統制されています。結果は、体重、体脂肪率、アンドロイド脂肪率、アンドロイド脂肪量、腹囲、腹部皮下脂肪厚、腸骨稜上の皮下脂肪厚、そのすべてで有意な差が出ませんでした。

ここで注意したいのは、これは腹筋運動の研究であって、開脚や太ももを直接検証したものではないという点です。それでも「動かした場所の脂肪がその場で落ちる」という発想が、少なくとも腹部では確かめられなかった、という事実は残ります。

一方で、局所的な脂肪減少を示した試験もある

過体重の男性16人の10週間の試験では、体幹を使った群のほうが体幹の脂肪が3%多く減りました。

2023年に出た試験は逆の結果です(Brobakken, Physiological Reports 2023)。過体重の男性16人を、トレッドミル走27分に体幹回旋とクランチを4分×4本足した群と、トレッドミル走45分だけの群に分け、週4日を10週間続けました。体幹の脂肪量は体幹群で1,170±1,093g(7%)減り、対照群は変わりませんでした。群間の差は697g(3%)です。全身の脂肪量の減り方は両群で同じでした。

ただし16人と小規模で、対象は男性だけです。測定に使ったDEXAは内臓脂肪と皮下脂肪を分けられませんし、食事の統制もありません。著者自身が限界として挙げています。したがって「部分痩せは絶対に起こらない」と断定するのも、逆に「動かせばそこが痩せる」と言い切るのも、いまの材料では踏み越えです。書けるのは、特定の部位を動かせばその場所の脂肪だけが狙い通り落ちるとまでは言えない、までです。

「細くなった気がする」と、脂肪が減ったは別のこと

SNSで語られる変化は体重の数字ではなく見た目とむくみ感です。見た目だけでは脂肪が減ったかは判断できません。

X(旧Twitter)で開脚と脚やせについての投稿を集めてみました。まず全体の量が少なく、ヨガ教室やストレッチ動画の宣伝が目立ちます。そのうえで、開脚を続けて「痩せた」と明確に書いている人は多くありません。書かれている変化は「太ももも筋肉で引き締まり細くなりました」「ウエストと太ももが細くなってきたのを実感できるようになった」のように、体重の数字ではなく見た目とむくみ感でした。

数字が付くのは柔軟性のほうです。「1ヶ月弱毎日5分開脚のストレッチしてたら、床にベタつきできるようになった」という投稿では、本人が体重は停滞していると書き添えています。逆に「走れるし、逆立ち、ブリッジ、Y字開脚したりできますが、体重は減りません」という投稿もありました。

見た目が変わったという実感を否定するつもりはありません。ただ、見た目だけでは脂肪が減ったのかどうかは判断できません。実際に脚のサイズを1か月測り続けたらどうなったかは、フォームローラー脚やせのビフォーアフター|1か月試して分かったこと・測れなかったことに書いています。

痩せなくても、ストレッチで変わるものはある

4週間で柔軟性は大きく伸び、動脈の硬さの指標も下がりました。ただし体脂肪が減ったという話ではありません。

図解2:伸ばした範囲と、下がった動脈の範囲 全身を伸ばした試験(中年男性16人・4週間) 伸ばした範囲:下肢(内転筋を含む)+上肢+頸部・体幹 下がった指標:baPWV(1207→1145 cm/s)・CAVI(7.7→7.2) =全身性・中心性も含む指標が下がった。「脚だけ」の結果ではない 下肢だけを伸ばした試験(中高年女性14人・4週間) 伸ばした範囲:股関節の屈伸・膝の屈伸・底屈筋 下がった指標:大腿−足首PWV(1222→1122 cm/s)だけ =全身・中心の指標は変わらなかった。介入群7人・対照群7人の小規模 いずれも体重・体脂肪が減ったという結果ではありません Nishiwaki M ら, SpringerPlus 2015 / Higaki Y ら, Phys Act Nutr 2022 より作成

4週間で長座体前屈が30.6cmから43.9cmになった

群の平均で13.3cm伸びました。論文は個々の変化率をまとめて61.7%と報告しています。

先ほどの試験(Nishiwaki, SpringerPlus 2015)で、いちばん大きく動いたのは柔軟性でした。長座体前屈が30.6±5.3cmから43.9±4.3cmになっています。論文は変化率を61.7±19.5%と報告していますが、これは参加者ひとりずつの変化率をまとめた値です。群の平均値30.6と43.9をそのまま割ると約43.5%になるので、「30.6cmが43.9cmになった=61.7%増」という読み方はしないでください。

いずれにしても、1か月で体が目に見えて柔らかくなること自体は、この試験がはっきり示しています。Xでも「1ヶ月弱毎日5分」「半年毎日真面目に柔軟したら170度くらい」といった投稿があり、体感とも矛盾しません。

同じ試験で、動脈の硬さの指標も下がった

baPWVは1207から1145cm/sへ4.9%低下し、CAVIも7.7から7.2になりました。

baPWVは腕と足首のあいだを脈の波が伝わる速さ、CAVIは心臓から足首までの血管の硬さを表す指標です。どちらも血管が硬いほど値が大きくなります。4週間のストレッチで、baPWVは1207±28から1145±19cm/sへ、CAVIは7.7±0.2から7.2±0.2へ下がりました。

ここで気をつけたいのは、baPWVもCAVIも全身性・中心性の要素を含む指標だということです。「伸ばした脚の血管だけが柔らかくなった」という結果ではありません。局所の話は次のとおり、別の試験になります。

下肢だけを伸ばすと、下がったのは脚の動脈だけだった

中高年女性14人の小規模な試験では、脚の局所の指標だけが下がり、中心の指標は変わりませんでした。

中高年から高齢の女性14人を、介入群7人(63.4±6.4歳)と対照群7人(67.3±5.6歳)に分け、股関節の伸筋と屈筋、膝の伸筋と屈筋、底屈筋の静的ストレッチを4週間続けた試験があります(Higaki, Phys Act Nutr 2022)。大腿から足首までのPWVは介入群で1222.4±167.5から1122.0±141.1cm/sへ下がりました。対照群は1122.7±107.7から1139.9±77.5で変わっていません。一方、全身と中心の動脈スティフネスは動きませんでした。

7人ずつという規模なので強い結論は置けませんが、「伸ばした場所に対応する部位の指標が下がった」という形は読み取れます。股関節まわりを伸ばす開脚が、この条件にいちばん近い運動です。

柔軟性と動脈の硬さに関連を認めた研究はある。ただし個人の判定には使えない

526人の横断研究で40歳以上に関連が見られました。個人の血管の状態を判定できる指標ではありません。

20歳から83歳までの526人を対象にした横断研究では、長座体前屈の成績が低い群ほど動脈スティフネスが高いという関連が報告されています(Yamamoto, Am J Physiol Heart Circ Physiol 2009)。この関連は40歳以上で成立し、20〜39歳では成立しませんでした。心肺体力や筋力とは独立した関連です。

5年間追いかけた研究もあります(Gando, Front Physiol 2017)。305人(男性80人・女性225人、49.6±9.5歳)で、頸動脈から大腿までのPWVの年間変化は、柔軟性が低い群で14.41±2.73cm/s、高い群で2.62±2.68cm/sでした(P=0.011)。年あたりの差は11.79cm/sなので、5年ぶんを単純に積むと約59cm/sになります。

ここは誤解されやすいので、はっきり書きます。これは集団でみた統計的な関連であり、開脚や長座体前屈の結果から個人の血管の状態を判定することはできません。baPWVやCAVIは測定条件や血圧の影響も受けるため、柔軟性テストがその代わりになるわけでもありません。「体が硬い=血管が硬い」「開脚できない=動脈硬化」と読み替えないでください。

あわせて言えば、ここで紹介した研究はどれも、柔軟性が低いほど太りやすいことを示したものではありません。Xでときどき見かける「開脚できる人は痩せやすい/開脚できない人は痩せにくい」という言い方は、これらの研究から導けるものではありません。

開脚をするなら、痩せるためではなく安全に

反動をつけない、人に押してもらわない、痛みが出たらやめる。この3つが最低条件です。

ここでは開脚のメニューは扱いません。痩せるための開脚のやり方ではなく、痛めずに試すための最低条件だけをまとめます。

項目目安
強さ反動をつけず、静止した状態で伸ばす。痛みが出る手前で止める
1か所の時間研究で使われた条件は20秒×3回。呼吸を止めない
タイミング体が温まっているとき。入浴後を選ぶ人が多い
やらないこと反動をつける/人に押してもらう/いきなり限界まで開く
やめる合図鋭い痛み、音、翌日まで残る痛み。そのときは中止する
1か所20秒×3回は Nishiwaki 2015 の介入条件です。減量のための処方ではありません。

やらないほうがいいこと|反動・押し込み・いきなり限界まで

Xでは股関節や内転筋を痛めた体験談が見つかりました。原因として書かれているのはこの3つです。

投稿を集めると、痛めた部位として出てくるのは股関節、内転筋、お尻から太ももにかけて、が中心でした。「調子こいて左のお尻から太ももにかけて『ミシッ!!』って音がして筋痛めた」「限界突破してたらしく、股関節が痛い」といった書き方です。原因として本人たちが挙げているのは、無理に押しすぎる、反動をつける、いきなり限界まで開く、の3つでした。

集めた投稿の数は多くないので、割合として語ることはできません。それでも、どこを痛めるかの方向は一致しています。押し込むほど早く開くようになるわけではないので、鋭い痛みが出たらその日はやめてください。

どのくらい続けると、何が変わるのか

42研究をまとめた解析では、長い時間と高い頻度の条件で筋力と筋量にわずかな差が出ていました。

静的ストレッチを長く続けたときに何が起きるかを、42研究・累計1,318人分まとめた解析があります(Warneke, Sports Med Open 2024)。最大筋力の効果量は0.30、筋肥大は0.20で、どちらも小さい値です。サブグループでは1回15分以上、6週間以上、週5回以上といった条件のほうが効果量が大きく出ています(0.26〜0.45)。

この結果の読み方には注意が必要です。第一に、これは「15分未満では効かない」という閾値を示したランダム化試験ではなく、集めた研究を条件別に分けて比べたサブグループ解析です。第二に、見ているアウトカムは筋力と筋肥大であって柔軟性ではありません。そして第三に、効果の向きは筋がわずかに太くなるほうであって、脚を細くするほうではありません。開脚を長く続けたときの期待値としては、ここを取り違えないでください。

なお、手が届きにくい姿勢を補助する道具としてストレッチ用のバンドを使う方法もあります。これは強く引っ張るための器具ではなく、開脚の可動域や減量の効果を高めるものでもありません。無理に引き込むと、上に書いた「押し込む」と同じことになります。

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体重や太ももを変えたいなら、開脚とは分けて考える

開脚は柔軟性のための運動です。体重は食事の総量、脚の見た目は筋トレ側で手を打つほうが確実です。

Xで開脚を続けている人の投稿を見ると、開脚だけを単独でやっている例は少なく、ヨガ、他のストレッチ、筋トレ、食事のコントロールと組み合わせている例が目立ちました。「YouTubeの開脚ストレッチ+太もも痩せ骨盤矯正+筋トレ」のような書き方です。集めた投稿の数が少ないので比率としては言えませんが、開脚と減量を別々に扱っている人が多い、という形は見えます。

体重のほうは食事の総量の話になります。カロリーをどう考えるかはカロリー制限では痩せない理由に、実際に10kg近く落としたときの数字はダイエット成功の中身を全部出す|82.05kg→72.4kgの実データにまとめてあります。脚の見た目を変えたい場合は大腿がやせる筋トレは?のほうが目的に合います。

開脚をやめる必要はまったくありません。ただ、体重計の数字を動かす手段としては期待しないでください。柔らかくなること自体が目的なら、それはこの記事で見たとおり4週間でも十分に起こります。

よくある質問

Q. 開脚を毎日やれば何kg痩せますか?

A. 何kg痩せるかを示した試験はありません。近い条件である内転筋を含む全身ストレッチの試験(4週間・週5回・1回30分)では、体重・BMI・体脂肪率に有意な差は出ませんでした。エネルギーの面でも、10分の開脚で余分に使う分は約13kcalです。

Q. 開脚をすると太ももは細くなりますか?

A. 開脚で太ももが細くなるかを調べた試験は見つかりません。他の部位では、腹筋を6週間続けても腹の脂肪が減らなかった試験と、体幹を使った持久運動で体幹の脂肪が対照より3%多く減った試験の両方があります。「動かせばそこだけ落ちる」とは言えない、というのが今の材料での答えです。ストレッチで太ももに何ができるかは太腿【痩せる】ストレッチとは?にまとめています。

Q. むくみが取れて細く見えることはありますか?

A. 開脚でむくみがどう変わるかを測った試験は見つかりませんでした。分かっているのは、下肢を伸ばすと伸ばした部位に対応する動脈の指標が下がった、という小規模な試験があることまでです。見た目が変わったという体験談は実際にありますが、それが脂肪の減少なのかどうかは、見た目だけでは区別できません。

Q. 何分やればいいですか?毎日やっていいですか?

A. 減量のための処方はありません。研究で使われた条件を参考にするなら、1か所20秒を3回です。毎日やってはいけないという根拠はありませんが、鋭い痛みが出たり翌日まで痛みが残ったりする場合は、その日は休んでください。

Q. お風呂上がりにやったほうがいいですか?

A. 入浴後を選ぶ人は多く、Xでもよく共有されています。ただし、入浴後のほうが効果が高いことを示した比較試験を私は見つけられませんでした。続けやすい時間帯を選ぶ、という理由なら十分だと思います。

Q. 開脚のとき、人に背中を押してもらってもいいですか?

A. おすすめしません。自分では止められない強さがかかるためです。Xで痛めたと書いている人が挙げている原因も、無理に押しすぎる、反動をつける、いきなり限界まで開く、の3つでした。伸ばす強さは自分でコントロールできる範囲にとどめてください。

Q. 体が硬いと太りやすいというのは本当ですか?

A. この記事で紹介した研究は、柔軟性が低いほど太りやすいことを示したものではありません。柔軟性と関連が報告されているのは動脈の硬さで、しかも集団でみた統計的な関連です。個人について「硬いから太りやすい」「硬いから血管も硬い」と判定できるものではありません。

参考文献

  1. Nishiwaki M, Yonemura H, Kurobe K, Matsumoto N. Four weeks of regular static stretching reduces arterial stiffness in middle-aged men. SpringerPlus. 2015;4:555. PMC
  2. Higaki Y, Fujie S, Yamato Y, Oshiden M, Iemitsu M. Four weeks of lower-limb static stretching reduces regional arterial stiffness in middle-aged and older women. Phys Act Nutr. 2022;26(2):22-27. PubMed
  3. Yamamoto K, Kawano H, Gando Y, Iemitsu M, Murakami H, Sanada K, et al. Poor trunk flexibility is associated with arterial stiffening. Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2009;297(4):H1314-8. American Physiological Society
  4. Gando Y, Murakami H, Kawakami R, Tanaka N, Sanada K, Tabata I, et al. Greater Progression of Age-Related Aortic Stiffening in Adults with Poor Trunk Flexibility: A 5-Year Longitudinal Study. Front Physiol. 2017. PMC
  5. Vispute SS, Smith JD, LeCheminant JD, Hurley KS. The Effect of Abdominal Exercise on Abdominal Fat. J Strength Cond Res. 2011;25(9):2559-64. PubMed
  6. Brobakken MF, Krogsæter I, Helgerud J, Wang E, Hoff J. Abdominal aerobic endurance exercise reveals spot reduction exists: A randomized controlled trial. Physiol Rep. 2023. PMC
  7. Warneke K, Lohmann LH, Behm DG, Wirth K, Keiner M, Schiemann S, et al. Effects of Chronic Static Stretching on Maximal Strength and Muscle Hypertrophy: A Systematic Review and Meta-Analysis with Meta-Regression. Sports Med Open. 2024;10:45. PMC
  8. Compendium of Physical Activities(stretching, mild = 2.3 METs) リンク

この記事を書いた人

臨床ブロガー 臨床検査技師/18年・88kg→65kg

検査値を通して人の体を見てきました。論文を確認し、自分の実測とは分けて書いています。医師・管理栄養士ではなく、診断・治療・服薬の判断は行いません。

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この記事を書いた人

臨床検査技師。専門は生化学検査。健診センターのデータ業務、治験コーディネーター(CRC)、総合病院、公立病院の経営推進課を経て、現在はWEBマーケティングが本業。自身が20回のダイエット失敗のあと88kgから65kgへ。論文を読んで気になったものを自分の体で試し、体重・腹囲・血液検査・体組成という数値で確かめた記録を書いています。効くものは効くと、効かないものは効かないと書きます。広告主から記事内容の指定を受けることはありません。

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