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バナナダイエットは痩せる?朝・夜の効果と失敗する原因を論文で検証

バナナダイエットは痩せる?朝・夜の効果と失敗する原因を論文で検証

バナナダイエットって、結局のところ痩せるんですか?

痩せるとしたら、効いているのはバナナそのものではなく、何をバナナに置き換えたかのほうです。

先に、この記事のいちばん大事なところだけ書きます。

バナナ1本(可食部90g)は約84kcal。ご飯茶碗1杯150gの234kcalの、およそ3分の1です。「1本でご飯1膳分」という言い方をよく見かけますが、成分表の数字は3倍近く違います
ご飯1膳をバナナ1本に置き換えると、1日あたり約150kcal少なくなります。30日続けば食事記録の上では約4,500kcalの差です
ただし、いつもの朝食に足すと1日あたり約84kcal増えます。バナナダイエットの失敗報告でいちばん多いのが、この「置き換えたつもりで追加していた」というパターンです

この記事を書いている私は臨床検査技師です。栄養士でも医師でもありません。ですのでこの記事では、日本食品標準成分表から自分で計算した数字と、実在する論文で確かめられていること、そして確かめられていないことを、そのつど分けて書きます。

それと、この記事は2021年に書いた初版の全面的な書き直しです。初版では「バナナ→トリプトファン→セロトニン→メラトニン→睡眠→脂肪代謝」という流れを記事の柱に据えていましたが、バナナ1本に含まれるトリプトファンは約11mgしかありません。この柱は本文中で取り下げます。

この記事でわかること
・バナナ1本と、ご飯・食パン・ヨーグルトのカロリーと糖質(成分表から計算)
・置き換えたとき/足したときに、1か月でどれだけ差がつくのか
・バナナダイエットで失敗する原因5つ
・「カリウムでむくみが取れる」「青いバナナは痩せる」「バナナで睡眠がよくなる」の3つを、論文でどこまで言えるか
・置き換え方5パターンの比較(総kcal・糖質・たんぱく質・弱点)
・朝と夜で何が違うのか、1週間で動くのは何なのか

※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。

目次

結論|バナナダイエットで痩せるなら、主役は「バナナ」より置き換えです

バナナ自体に脂肪を燃やす作用は確認されていません。減るとすれば、置き換えで総摂取エネルギーが下がった分です。

ただし、これはバナナを否定する話ではありません。バナナには置き換え食品としての利点がはっきりあります。1本約84kcalで量を決めやすいこと、皮をむくだけで調理が要らないこと、カリウムやビタミンB6を含むこと。「続けやすい形をしている」というのは、ダイエット食品としてかなり大きな長所です。

まず、朝食の候補を並べて中身を出します。日本食品標準成分表2020年版(八訂)の値から計算したもので、バナナは1本を可食部90g(皮つき約150g・廃棄率40%)、ご飯は普通盛り150g、食パンは6枚切1枚60g、ヨーグルトは全脂無糖100gとしています。

朝食の候補エネルギーたんぱく質脂質炭水化物食物繊維
バナナ1本(可食部90g)84 kcal1.0 g0.2 g20.3 g1.0 g
ご飯 茶碗1杯150g234 kcal3.8 g0.5 g55.7 g2.3 g
食パン 6枚切1枚60g149 kcal5.3 g2.5 g27.8 g2.5 g
ヨーグルト(全脂無糖)100g56 kcal3.6 g3.0 g4.9 g0 g
バナナ1本+ヨーグルト100g140 kcal4.6 g3.2 g25.2 g1.0 g
表1:朝食候補の栄養比較(日本食品標準成分表2020年版・八訂から計算)

この表で最初に見てほしいのは、エネルギーの列です。バナナ1本84kcalに対して、ご飯1杯は234kcal。差は150kcalあります。同時に、たんぱく質の列も見てください。バナナ1本のたんぱく質は1.0gしかありません。ここが後半で効いてくる弱点です。

数字で見る|バナナ1本84kcal、ご飯1膳234kcal

バナナ1本はご飯1膳の約3分の1のエネルギーです。「1本でご飯1膳分」という言い方は、成分表と合っていません。

「バナナ1本でご飯軽く1膳分」は成分表と合いません

84kcalと234kcalなので、差は約150kcalです。バナナを「糖質の塊」として避ける理由にはなりません。

SNSでは「バナナは糖質の塊。1本でご飯軽く1膳分のエネルギー」という言い方をよく見かけます。ただ、成分表で計算すると、バナナ1本の糖質(炭水化物から食物繊維を引いた値)は約19.3g、ご飯1杯は約53.4gです。糖質でも2.8倍近い差があります。

「バナナは甘いから太る」という印象と、実際の数字はここでずれています。甘さは糖の種類(バナナは完熟するとショ糖・ブドウ糖・果糖が増えます)によるもので、量そのものではありません。糖質の総量をどう見るかは糖質一日何グラムまで?で別に整理しています。

置き換えると、30日で約4,500kcalの差になります

1日150kcal×30日で4,500kcalです。ただし、これを「体脂肪何kg」に換算することはできません。

ここは慎重に書きます。よく使われる「7,700kcalで体脂肪1kg」という換算は、体重が減ったあとのエネルギー消費の変化、脂肪以外の組織、水分やグリコーゲンの出入りを全部固定してしまうため、実際の体重変化の予測としては当たりません。ですのでこの記事では、「食事記録の上では30日で約4,500kcalの差になる」までしか書きません。そこから実際に何kg減るかは、食欲の補償(減らした分をどこかで取り返してしまうこと)や活動量によって人ごとに変わります。

カロリーの引き算がそのまま体重にならない理由は、カロリー制限では痩せない理由にも書きました。

足すと、1日あたり84kcal増えます

いつもの朝食にバナナを1本足すだけなら、収支はプラスです。30日で約2,520kcalの増加になります。

置き換えと追加では、同じ「朝バナナ」でも符号が逆になります。図にすると、こうなります。

図解1:同じ「朝バナナ」でも、置き換えと追加では符号が逆 朝食1食あたりのエネルギー(kcal)/日本食品標準成分表2020年版(八訂)から計算 もとの朝食:ご飯150g 234 kcal → バナナ1本に置き換え 84 kcal 1日 −150 kcal 食パン1枚 → バナナ1本 149 → 84 kcal −65 kcal ご飯150g + バナナ1本 318 kcal 1日 +84 kcal 30日続けた場合の食事記録上の差:置き換え −4,500 kcal / 追加 +2,520 kcal ※この差をそのまま「体脂肪◯kg」に換算することはできません(本文参照)

バナナダイエットが「効いた」「効かなかった」で割れるのは、たぶんこの図の上か下かの違いです。

バナナダイエットで失敗する原因5つ

いちばん多いのは、置き換えたつもりで追加していたというパターンです。次に多いのが、昼まで持たないことです。

この章は、当ブログに以前あった「朝バナナダイエット失敗談」の記事を統合したものです。そこに寄せられていた体験談を、まず1つ紹介します。あくまで1人の例(n=1)で、一般化できる数字ではありません。

毎日朝にバナナを1本食べる「バナナダイエット」にチャレンジしました。無理せず長く続けられる方法を選んだつもりでした。もともと朝食はご飯と野菜を中心にバランスの良いメニューを心がけていましたが、そこにバナナが加わったことで摂取カロリーが多くなり、逆に体重が増えてしまったのです。バナナダイエットを始めてから3キロほど増えてしまい、本質を理解したうえで物事を進めることの大切さを身に沁みて感じました。

読者の体験談(n=1)

この方は「バナナを食べる」を実行していますが、「何かをやめる」を実行していません。前の章の図でいえば、いちばん下の行に立っていたことになります。

体験談も含めて整理すると、失敗の形は5つに分けられます。

  1. 置き換えではなく追加している。いちばん多い形です。1日あたり84kcalのプラスになります
  2. 昼まで持たず、昼食で食べ過ぎる。バナナ1本のたんぱく質は1.0g、脂質は0.2gしかありません。腹持ちを支える成分がほぼ入っていない食事です
  3. 足りない分を間食で取り返している。朝の150kcalを減らしても、10時にお菓子を食べれば収支は元に戻ります。この分は記録に残りにくく、本人も気づきにくい
  4. バナナ以外が何も変わっていない。朝だけを1食変えても、昼・夜・間食・飲み物がそのままなら、1日の総量はほとんど動きません
  5. 続かない。単品ダイエット全般に共通する弱点です。数日で飽きた時点で、収支は元に戻ります

3番目に関連して、ひとつ確認しておきたいことがあります。「朝食を食べたほうが代謝が上がって痩せる」という説です。朝食のランダム化比較試験を集めたメタ解析(Sievert, BMJ 2019)では、体重を見た7試験486人・摂取エネルギーを見た10試験930人を解析した結果、朝食を食べた群のほうが体重が0.44kg重く、1日の総摂取エネルギーも約259.79kcal多いという結果でした。ただし対象は高所得国の短期試験に限られ、全試験にバイアスリスクがあり、摂取エネルギーの異質性もI²=80%と大きいので、「朝食を抜くべき」という話ではありません。

この研究はバナナの研究ではないので、「バナナを追加すると太る」の直接の根拠にはできません。言えるのは、「朝食を1品増やせば代謝が上がって痩せる」という前提そのものが、試験では確かめられていないということです。増やす設計にしている時点で、この方法は成立しにくくなります。

よく言われる3つの効果を論文で検証しました

カリウムでむくみ、青いバナナのレジスタントスターチ、トリプトファンで睡眠。この3つを順番に確かめます。

カリウムでむくみは取れますか

バナナ1本のカリウムは約324mgです。1日の目標量の1割強にあたる量で、これ単独でむくみが取れるとは言えません。

数字で並べます。

 男性(18歳以上)女性(18歳以上)
カリウムの目標量(生活習慣病の発症予防)3,000 mg/日以上2,600 mg/日以上
カリウムの目安量2,500 mg/日2,000 mg/日
バナナ1本(可食部90g)324 mg
目標量に対する割合10.8%12.5%
目標量をバナナだけで満たすなら約9.3本約8.0本
表2:カリウムの摂取基準とバナナ1本の距離(日本人の食事摂取基準2025年版・日本食品標準成分表2020年版から計算)

バナナが果物のなかでカリウムを取りやすい部類なのは確かです。ただ、目標量に対する寄与は1割強で、9本近く食べないと1日分になりません。「浮腫みは朝バナナ一択」という言い方は、量の面から見ると無理があります。

それと、むくみ(浮腫)そのものについて。これは余分な間質液がたまった状態を指す医学用語で、心臓・腎臓・肝臓の病気や薬剤が関係していることがあります。成分表のカリウム量だけを根拠に「バナナ1本でむくみが取れる」と書くことはできません。むくみが続く場合は、食べ物で対処する前に受診してください。

※腎機能の低下などでカリウム制限を受けている方は、バナナを毎日食べる前に必ず主治医・管理栄養士に相談してください。カリウムは制限されている人にとっては控えるべき栄養素です。

青いバナナは痩せますか|熟度でGIとでんぷんの性質は変わります

熟度でGIは大きく変わります。ただし「青いバナナを食べれば痩せる」という試験は見つかりません。

まず事実のほうから。2型糖尿病の方10人を対象にした試験(Hermansen, Diabetic Medicine 1992)で、バナナ120gを未熟な状態と過熟な状態で食べ比べたところ、GIは未熟で43±10、過熟で74±9でした。青いうちは炭水化物の大半がでんぷんの形をしていて、そのうち小腸で消化されない部分(レジスタントスターチ)が多く含まれます。熟すとこれが糖に分解されるため、消化が速くなり血糖の上がり方が急になります。

図解2:熟度でGIとでんぷんの性質は変わる Hermansen, Diabetic Medicine 1992/2型糖尿病10人・バナナ120g 未熟(青め) GI 43 ± 10 炭水化物の大半がでんぷん。消化されない部分(レジスタントスターチ)を含む 過熟(茶色い斑点) GI 74 ± 9 でんぷんが糖に分解され、消化が速くなる。甘みが増すのはこのため ただし、ここから言えないこと ・エネルギー量は熟度でほとんど変わりません(GIが低い=低カロリー、ではありません) ・n=10・2型糖尿病の方が対象。健康な人でそのまま同じ差が出るとは限りません

ここからが大事なところです。「青バナナで痩せた」という文脈でよく引かれる試験(Costa, British Journal of Nutrition 2019)は、前糖尿病・2型糖尿病の中年113人(介入62人/対照51人)を24週間追い、介入群で体重(P=0.002)・BMI(P=0.006)・腹囲と臀囲(P<0.01)・体脂肪量(P=0.001)が減り、除脂肪量が増えた(P=0.011)という結果でした。HbA1c(P=0.0001)と空腹時血糖(P=0.021)も改善しています。

ただし、この試験で使われたのは青バナナバイオマス40g/日(レジスタントスターチ約4.5g)という加工品です。生のバナナを1本食べる話ではありません。レジスタントスターチそのものを補給した試験を集めたメタ解析(Snelson, Nutrients 2019・22試験670人・1〜12週)でも、2型糖尿病の方で体重−1.29kg(n=90)という結果は出ているものの、著者らは「少数の小規模試験に強く引きずられており、短期のレジスタントスターチ補給の利益は限定的」と結論しています。

ですので、青めのバナナを選ぶこと自体は血糖の上がり方の面で理にかなっていますが、「青いバナナに替えたから痩せる」とまでは言えません。青いバナナは固くて甘くないので、そこで食べるのがつらくなるなら、続けやすい完熟のほうを選んだほうが結果は出ます。

トリプトファンで睡眠がよくなって痩せる、は取り下げます

バナナ1本のトリプトファンは約11mgです。この量で睡眠を動かすという主張は、初版の書きすぎでした。

この記事の初版では「バナナ→トリプトファン→セロトニン→メラトニン→睡眠改善→脂肪代謝」という流れを柱に据えていました。今回、量を確かめて取り下げます。バナナ1本(中サイズ)のトリプトファンは約11mg。七面鳥1食分が約250mg、ピーナッツバター大さじ1が約74mgですから、桁が違います。

まったくの嘘というわけではありません。炭水化物を一緒にとるとインスリンが競合するアミノ酸を血中から取り除くので、脳に届くトリプトファンの相対量は増えます。バナナは炭水化物とビタミンB6(1本で0.34mg)の両方を持っているので、理屈の上では条件がそろっています。バナナを食べた後にメラトニン濃度が上がったという報告もあります。ただ、睡眠を扱った研究の多くはバナナ1本よりはるかに多い量で評価しているので、バナナ1本は「補助的なおやつ」以上には位置づけられません

ややこしいのは、「睡眠が体重に効く」ほうには、しっかりした根拠があることです。過体重の10人にカロリー制限をしながら5.5時間睡眠と8.5時間睡眠を試したクロスオーバー試験(Nedeltcheva, Annals of Internal Medicine 2010)では、減った体重は同じでも、睡眠を削った期間は減った体重に占める脂肪の割合が55%少なく、除脂肪量の減少が60%多くなりました。習慣的に6.5時間未満しか眠っていない過体重の80人を2週間追った試験(Tasali, JAMA Internal Medicine 2022)では、睡眠を平均1.2時間延ばした群で1日のエネルギー摂取が約270kcal減り、総エネルギー消費に差はありませんでした。

つまり効いているのは睡眠そのものであって、バナナではありません。この2つをつないで「バナナで痩せる」と書くのは、鎖のつなぎ方が間違っています。睡眠のほうの話は寝るだけダイエットにまとめました。

どう食べる?置き換え方を5パターンで比べました

ご飯を置き換えるのがいちばん差が大きく、朝食に足すやり方だけが唯一のマイナスです。

ここが実際に手を動かす部分です。5パターンを、総エネルギー・糖質・たんぱく質・弱点まで並べます。もとの朝食をご飯150gとしています。

やり方朝食の総kcal糖質たんぱく質もとの朝食との差弱点
①ご飯150g → バナナ1本84 kcal19.3 g1.0 g−150 kcalたんぱく質が足りず、昼まで持ちにくい
②食パン6枚切1枚 → バナナ1本84 kcal19.3 g1.0 g−65 kcal差が小さい。パンは元々そこまで高くない
③いつもの朝食+バナナ1本318 kcal72.7 g4.8 g+84 kcal収支がプラス。失敗の代表パターン
④バナナ1本+無糖ヨーグルト100g140 kcal24.2 g4.6 g−94 kcal①より腹持ちは良いが、差は小さくなる
⑤バナナスムージー(バナナ1本+牛乳200ml)約210 kcal29.2 g7.8 g−24 kcal噛まないので満腹感が出にくい。はちみつを足すと+69kcal
表3:置き換え方5パターンの比較(日本食品標準成分表2020年版・八訂から計算/もとの朝食=ご飯150g)

いちばん差が出るのは①、いちばん続きやすいのは④です

①は差が150kcalと最大ですが、たんぱく質1.0gでは昼まで持ちません。④は差が94kcalに減る代わりに現実的です。

失敗原因の2番目(昼まで持たない)と3番目(間食で取り返す)を思い出してください。表の上では①がいちばん強いのですが、そこで10時にお菓子を150kcal食べてしまえば、差は消えます。④なら差は94kcalに下がりますが、たんぱく質が4.6gになるぶん昼まで持ちやすくなります。紙の上で最大の差より、実際に守れる差のほうが大きいことは普通にあります

なお、バナナを1日2回・食前に60日食べてもらった試験(Mitsou, British Journal of Nutrition 2011・BMI24〜30の健康女性34人)では、ビフィズス菌の増加は統計的に有意なところまでは届かず、腹部膨満感は対照群より有意に低い(26〜35日 p=0.009/51〜60日 p=0.010)という結果でした。短鎖脂肪酸に差はなく、排便パターンへの悪影響もありません。ただしこれは体重減少を見た研究ではないので、「食前バナナで痩せる」の根拠にはなりません。

ヨーグルトを組み合わせるのは、この試験の結果を根拠にしているのではなく、足りないたんぱく質を補うという栄養設計上の理由です。同じ理由で、ゆで卵1個(約65kcal・たんぱく質6.1g)を足す形も有効です。

バナナスムージーでも痩せますか

スムージーにしたこと自体に脂肪を燃やす働きはありません。足した材料の分だけ、総エネルギーは増えます。

バナナ1本+牛乳200mlで約210kcal。ここにはちみつを大さじ1(21g)足せば約69kcal増えて279kcalになり、ご飯1膳の234kcalを超えます。豆乳・ヨーグルト・アイスを足していけば、さらに上がります。「スムージーだからヘルシー」ではなく、入れたものの合計がそのまま出ます

もう1つ、噛まずに飲めることの影響があります。液体は固形物より満腹感が出にくいので、同じカロリーでも「食べた気」が残りません。スムージーにするなら、無糖ヨーグルトや無調整豆乳のように甘味を足さない材料で組んで、量を先に決めてから作るほうが安全です。

いつ食べる?朝・夜・1週間の見方

朝がすすめられるのは代謝の理由ではなく、置き換えやすいからです。夜も時刻より、追加か置き換えかで決まります。

朝がすすめられるのは「置き換えやすい」からです

朝食は3食のなかで最も献立が固定されていて、量も少なめです。だから1食まるごと入れ替えやすいのです。

昼食は外食や弁当で自由が利きにくく、夕食は家族と同じものを食べることが多い。その点、朝食は自分ひとりの裁量で決められて、しかも「ご飯とみそ汁」「トーストとコーヒー」のようにパターンが決まっています。置き換え先を1つ決めるだけで運用に乗るのは、この時間帯だけです。朝バナナがすすめられてきた理由は、代謝の話よりもここにあると思います。

夜バナナは太りますか|時刻より「追加か置き換えか」です

夜に食べたバナナがそのまま脂肪になるわけではありません。1日の総量に足されているかどうかで決まります。

「夜に食べるとそのまま脂肪へ」という言い方をよく見ますが、夜バナナを1週間続けた介入試験は見当たりません。判断できるのは収支のほうです。夕食のご飯を減らしてバナナに置き換えるなら差は縮み、夕食のあとにデザートとして食べるなら1日あたり84kcalが上乗せになります。

寝る前の間食としてバナナを選ぶこと自体は、スナック菓子やアイスと比べれば穏当な選択です。ポテトチップス60gが約300kcalであることを考えれば、置き換えとしては機能します。ただ、それも「何かの代わりに食べているか」が条件です。

1週間で動くもの・動かないもの

1週間の体重変化には、脂肪だけでなく水分・グリコーゲン・消化管の内容物も大きく影響します。

「1週間で2kg減った」という報告は珍しくありませんが、その中身は脂肪だけではありません。糖質を減らすと肝臓と筋肉のグリコーゲンが減り、グリコーゲンは水を伴って蓄えられているので、その分の水も一緒に抜けます。塩分量が変われば体内の水分量も動きます。逆に、1週間で脂肪がまったく動かないという意味でもありません。動いてはいますが、体重計の数字のうち脂肪が占める割合は、思っているより小さいということです。

ですので、判断は最低でも1か月、できれば3か月で見てください。体重と体脂肪率が食い違う理由は体重が減ったのに体脂肪率が増える理由に書きました。1週間単位で見たときに何が起きるかは、オートミールダイエット1週間の結果でも同じ話を扱っています。

向く人・向かない人と、続けるための実務

朝食がご飯やパンで固定されている人には向きます。もともと朝食を食べていない人には向きません。

向く人

置き換える対象がはっきりしていて、朝に手間をかけたくない人です。差が最も大きく出ます。

  • 朝食が毎日ご飯1膳、または菓子パン・シリアルで固定されている人(置き換え先が明確)
  • 朝に調理する時間がなく、結局コンビニで何か買ってしまう人
  • 果物をほとんど食べていない人。果物の摂取量が増えた人ほど、その後の体重増加が小さかったという関連は大規模なコホート研究で示されています(Bertoia, PLOS Medicine 2015・米国3コホート133,468人・最長24年。果物1サービング/日の増加あたり4年間で−0.53ポンド)。観察研究なので「バナナが体重を減らす」という証明ではありませんが、少なくとも「バナナは太る食べ物だから避けるべき」という向きの誤解を打ち消す材料にはなります
  • 間食にお菓子を食べている人(そこを置き換える形なら差が出ます)
  • お通じや腹部の張りが気になっている人(Mitsouの試験で膨満感が有意に低かった点)
  • 血糖の上がり方が気になる人。青めを選べば、少なくとも過熟より穏やかです

向かない人

もともと朝食を食べていない人が始めると、それは追加になります。ここが最大の落とし穴です。

  • もともと朝食を食べていない人。バナナを足す形になるので、1日あたり84kcalのプラスです
  • 腎機能の低下などでカリウム制限を受けている人。必ず主治医・管理栄養士の指示に従ってください
  • 血糖の管理をしている人。完熟バナナはGI 74±9という試験結果があります。主治医の指示が優先です
  • 朝からしっかり食べないと午前中に集中が続かない人。たんぱく質1.0gの朝食では持ちません
  • すでに朝食が卵や納豆中心で、糖質が少ない人。置き換えると糖質が増える方向に動きます

保存と熟度の扱い

青めで買って、熟しすぎる前に食べ切る運用にすると、GIの面でも無駄の面でも収まりがよくなります。

バナナは追熟する果物なので、まとめ買いすると後半が過熟になります。青めのものを買い、常温で置いて、食べごろになったものから消費していく。熟しすぎそうなら皮をむいて冷凍しておけば、スムージーに回せます。ここは効果の話ではなく、続けるための段取りの話です。

毎朝1本ずつ食べるなら、まとまった量で買っておくほうが結局は途切れません。

主食のほうを見直す選択肢もあります。朝食をバナナに替えるかわりに、ご飯を玄米に替えて量を減らすやり方については玄米ダイエットは痩せる?に整理しました。

よくある質問

Q. バナナダイエットは本当に痩せますか?

A. 何かをバナナに置き換えたなら、その分だけ摂取エネルギーは減ります。ご飯1膳をバナナ1本にすれば1日約150kcalの差です。バナナ自体に脂肪を燃やす作用があるという試験は見つかりません。足す形にすると1日84kcalのプラスになります。

Q. バナナは1日何本まで食べていいですか?

A. 上限が決まっているわけではありませんが、置き換えとして使うなら1食1本で足ります。2本にすれば168kcal・糖質約38.6gとなり、ご飯1膳の糖質53.4gに近づきます。カリウム制限や血糖の管理をしている方は、本数を自己判断で決めずに主治医に相談してください。

Q. 朝と夜、どちらに食べるほうが痩せますか?

A. 時刻そのものより、置き換えになっているかどうかで決まります。朝がすすめられてきたのは、朝食が3食のなかで最も献立が固定されていて置き換えやすいからです。夜でも、夕食のご飯を減らしてバナナにするなら同じことが起きます。

Q. 朝食をバナナだけにしても大丈夫ですか?

A. エネルギーは84kcalまで下がりますが、たんぱく質が1.0gしかありません。昼までに空腹で耐えられず、昼食や間食で取り返してしまうと差は消えます。無糖ヨーグルト100g(たんぱく質3.6g)やゆで卵1個(同6.1g)を足す形のほうが、結果として続きます。

Q. 青いバナナと完熟バナナ、どちらが痩せますか?

A. エネルギーはほとんど変わりません。変わるのは血糖の上がり方で、2型糖尿病の方10人の試験ではGIが未熟43±10・過熟74±9でした。青バナナの加工品(バイオマス40g/日)で体重が減った24週の試験はありますが、これは生のバナナ1本の話ではありません。青いと固くて食べづらい場合は、続けやすい完熟を選んでください。

Q. バナナを食べると睡眠がよくなって痩せると聞きました。

A. バナナ1本のトリプトファンは約11mgで、睡眠を動かすには少なすぎます。この記事の初版でその流れを書いていましたが、取り下げました。ただし睡眠そのものは体重に効きます。睡眠を削ると、同じだけ減量しても減った体重に占める脂肪の割合が55%少なくなったという試験(Nedeltcheva 2010)があります。効かせたいなら、バナナではなく睡眠時間を直接いじるほうが早いです。

Q. バナナスムージーでも同じですか?

A. バナナ1本+牛乳200mlで約210kcalです。はちみつ大さじ1を足すと279kcalとなり、ご飯1膳の234kcalを超えます。スムージーにすること自体に減量効果はなく、入れた材料の合計がそのまま出ます。噛まないぶん満腹感も出にくいので、量を先に決めてから作ってください。

Q. 1週間で何kg減りますか?

A. 1週間の体重変化には水分・グリコーゲン・消化管の内容物が大きく影響するので、数字を約束できません。ご飯1膳を置き換えた場合、食事記録の上では30日で約4,500kcalの差になりますが、これをそのまま体脂肪の重さに換算することはできません。判断は最低1か月、できれば3か月で行ってください。

まとめ

バナナダイエットは、バナナの力で痩せる方法ではなく、置き換えを回しやすくする道具だと考えたほうが当たります。

バナナ1本84kcal、ご飯1膳234kcal。置き換えれば1日約150kcalの差。30日で食事記録上は約4,500kcalですが、体脂肪何kgとは換算できません
足せば1日84kcalのプラス。失敗報告のいちばん多い形がこれです
カリウム324mgは1日の目標量の1割強。むくみが取れるという臨床的な根拠にはなりません
熟度でGIは43±10から74±9まで動きますが、エネルギーはほぼ変わりません
トリプトファン11mgで睡眠を動かす、という初版の柱は取り下げました。睡眠を効かせたいなら睡眠時間を直接いじるほうが早いです
たんぱく質1.0gが最大の弱点。無糖ヨーグルトかゆで卵を足すと続きます

バナナに特別な力があるわけではありません。ただ、皮をむくだけで84kcalと決まっている食べ物というのは、置き換えを続けるうえでかなり扱いやすい。この記事で言えるのは、そこまでです。

参考文献

この記事で数字の根拠にした資料と論文は、以下の10件です。原典を確認できるようリンクを付けています。

  1. 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」(文部科学省
  2. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(厚生労働省
  3. Bertoia MC, et al. Changes in intake of fruits and vegetables and weight change in United States men and women followed for up to 24 years: analysis from three prospective cohort studies. PLoS Med. 2015;12(9):e1001878.(PubMed)※観察研究
  4. Costa GT, et al. Beneficial effects of green banana biomass consumption in patients with pre-diabetes and type 2 diabetes: a randomised controlled trial. Br J Nutr. 2019;121(12):1365-75.(PubMed)※青バナナバイオマス40g/日・生バナナではありません
  5. Snelson M, et al. Metabolic effects of resistant starch type 2: a systematic literature review and meta-analysis of randomized controlled trials. Nutrients. 2019;11(8):1833.(PMC
  6. Hermansen K, et al. Influence of ripeness of banana on the blood glucose and insulin response in type 2 diabetic subjects. Diabet Med. 1992;9(8):739-43.(PubMed)※n=10
  7. Mitsou EK, et al. Effect of banana consumption on faecal microbiota: a randomised, controlled trial. Anaerobe. 2011;17(6):384-7.(PubMed)※体重減少を見た研究ではありません
  8. Sievert K, et al. Effect of breakfast on weight and energy intake: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ. 2019;364:l42.(PubMed)※バナナの研究ではありません
  9. Nedeltcheva AV, et al. Insufficient sleep undermines dietary efforts to reduce adiposity. Ann Intern Med. 2010;153(7):435-41.(PMC)※n=10
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この記事を書いた人

臨床検査技師。専門は生化学検査。健診センターのデータ業務、治験コーディネーター(CRC)、総合病院、公立病院の経営推進課を経て、現在はWEBマーケティングが本業。自身が20回のダイエット失敗のあと88kgから65kgへ。論文を読んで気になったものを自分の体で試し、体重・腹囲・血液検査・体組成という数値で確かめた記録を書いています。効くものは効くと、効かないものは効かないと書きます。広告主から記事内容の指定を受けることはありません。

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